ここ数年人気を博している、モヘア100%ニットシリーズ。
今年も入荷しました。

古着市場ではモヘアニットがとんでもなく高価で取引されている昨今。
それらモヘアニットも基本的にアクリルなど化学繊維を混ぜて作られているものがほとんどですが、こちらのシリーズはなんとモヘア100%。

スケールの立っていないモヘア素材は滑りやすいため、ニット糸にするには細い芯糸で抑える必要があるのですが、この芯糸の素材はナイロンやアクリルが一般的で、高級なものだとウールやシルクが使われることがあります。
つまり、何かしらの別素材を用いないとモヘアニットというものは作れない、というのが常識かと思います。

しかし、それを覆すのがこちらのニット。
純粋なモヘアのみの質感や風合いを味わっていただきたいということで、通常よりもかなり時間をかけて紡績した特殊糸を使用。

しかも使用しているのはスーパーキッドモヘア。
生後１年未満のアンゴラ子山羊から刈り取った初毛の中でもハイマイクロンの、とりわけ細くて上質なものになります。

繊維がとても柔らかくて細いので、ハリコシがありながらも肌当たりは思いのほかソフト。
モヘアはチクチク感が...と嫌厭されていた方でも着やすいと思います。

これを特殊編み機を用いてゆっくりと時間をかけて編み立て。
さらにゆっくりと時間をかけて風合い出しを行い、モヘアならではの光沢感と柔らかなタッチを最大限まで引き出しているのも特徴です。

紡績から編み立て、風合い出しに至るまで、とにかく時間と労力をかけて試行錯誤しないと生み出せないモヘア100%のニット。
バトナーが誇る高い技術力で完成に漕ぎ着けています。

ローゲージかつモヘアならではの毛足の長さもあって、見た目よりも嵩高なタッチ。
ソフトではありますが、スカスカな感じもなくしっかりしており、非常に暖かいです。

初代モデルは相当肉厚で暖かすぎるという声もあったほどでしたが、今シーズンはそれよりやや薄めの平編みバージョンとしっかり肉厚な両畦編みバージョンの2タイプ展開。
こちらのカーディガンは前者で、着脱もしやすいことから着用可能期間も長く、アウターとしてもインナーとしても重宝する便利な一着です。

やや薄めになったとはいえペラペラではなく、保温性も十分。
重ね着もしやすく、肩からかけたり、腰に巻いたりといったスタイリングにも使いやすくなりました。

Vゾーンはどちらかというと浅めながらもVゾーンにしっかり余白があるため、タイドアップで合わせていただいたりしてもオシャレかと。
ハンドポケット付きというのもアウターとして使いやすく、上質なホーンボタンも良い感じにアクセントになっています。

適度にゆとりのあるシルエットですが、ルーズになることなく上品に着こなせる流石のバランス。
袖や裾のリブ幅なども中庸で適度に締まりが効いており、とても着こなしやすくて一枚でもサマになります。

モヘアは染まりが良いのも特徴ですから、発色の良さもピカイチ。
こちらのグレーも単純なモノトーンではなくやや赤みのあるミドルグレーですが、光沢感も相まってヌケの良いトーンに。
ダークトーンのアウターのインナーとしてもしっかり主張してくれそうです。

モヘア特有の毛足の長さがルックス的にも柔らかさを演出。
ツヤも相まってラグジュアリーな雰囲気も漂わせます。

シンプルながらも、風合い・カラーリング・デザイン・シルエットのすべてが高次元で隙なし、それでいてファクトリーブランドならではの良心的なプライス設定ですから最高です。
この手のニットは長らくプラダが得意としている印象なので、展示会で見かけたときには「こんな価格でプラダに負けず劣らずのものが買えるなんて！」と興奮した記憶があります。

女性の方があえてゆるめに着ていただいても絶対可愛いかと。
昨年にはなかったカーディガン型、男女問わず超オススメです。