当店のラインナップの中でも突出したクオリティを誇るPezzettino(ペッツェティーノ)のレザーアイテム。
全くの無名ながら、世界的にも類を見ないその卓越したクオリティは本質的に良いモノをお探しの皆様のハートをガッチリ掴んでいます。
中でも昨年販売した三層レザーサンダルは、我々の想像を超えるほど幅広く支持され、たくさんの方々にお買い求めいただきました。
とはいえ、ハッキリ言って説明なんて必要ないんです。
手にとって履いていただくだけでこの凄さは分かります。
とにかく歩きやすい…
ルックスや質感、作り込みも当然最高なんですが、想像を超える履き心地の良さに思わず唸ります。
と、その前にPezzettino(ペッツェティーノ)のブランド紹介をおさらい。
イタリアはボローニャの伝説的靴職人に唯一の愛弟子として認められた、とある著名な誂え靴職人が、新たな表現手段として始動させたのがこのPezzettinoです。
彼はイタリア最高の靴職人の一人として雑誌で紹介されるなど、世界でも指折りの技術を持った職人ですが、それと同時に、誰もが知っているあまたの世界的ハイブランドからデザイナーとしてもオファーされるなど、デザインセンスや感性においても他の職人とは一線を画す評価を受けている人物。
そんな彼が創り出すのは、偉大な過去を深く探求、継承しながらも懐古主義に留まることなく、類稀なセンスで機能美と様式美を両立させたアイテムの数々。
部材や構造はすべて意味のある形で存在し、その完成度は圧倒的です。
デザインも構造も作りもすべてがハイレベルで共存しており、その製品にはオーラが漂います。
ハイブランドの製品を凌駕するクオリティを誇りながら、価格はその半額以下というのも魅力のひとつ。
彼自身、プレタポルテ界から絶えず仕事の依頼を受けていることや最高峰誂え靴工房としてコネクションを持っていることから、通常では手に入らないような高品質部材を格安で調達できるなどの強みも持っています。
とはいえ、ひとりでデザインから製造まで行っているため、生産量には限界が。
しかも、誂え靴やプレタ系の仕事のスキマ時間を使って製作されているため、実際に作れる数はごくわずかです。
ということで世界的にも取扱店舗はごく少数。
その中でもフルラインナップに近い形で揃えているウチのようなお店はほぼありません。
田舎のしがないセレクトショップが、このような世界屈指の製品を取り扱えることを大変光栄に思います。
と、そんなブランドが作るグルカサンダルだけに、巷にあふれるモノとはレベルが違います。
そもそもイタリアには紀元前からサンダル文化が根付いており、伝統と技術の蓄積は他を圧倒しています。
そんなイタリアのサンダル専門職人に言わせれば、パラブーツやチーニーなどの革靴ブランドがこぞって打ち出しているグルカサンダルは、構造はほとんど革靴でサンダルと呼べる代物ではないとのこと。
たしかに、グッドイヤーウェルト製法の靴のアッパーをくり抜いたような構造のものが多く見受けられます。
本来このタイプのサンダルに一番求められている要素は、「暑い季節でも蒸れずに快適なこと」であり、そのためには靴にはない通気性が必要なはず。
それなのに、その手のサンダル風革靴は爪先やかかとが覆われていたり、肌の露出面積が少なかったりと、通気性に疑問の残るものが多いですし、さらにウェルト構造のものは返りが悪く、サンダルに求められる柔軟性が担保できていなかったりします。
まぁ、元ネタである軍物のグルカがそういう形状だったりするので、それをなぞりたくなるのは分かりますが。
この手の矛盾点をすべて解消し、優れた通気性と異次元に快適な歩行性を両立させたのがこのサンダルです。
基本的に、部材や木型、ソールの構造は昨年リリースのレギュラーサンダルと同じですので、詳しいことはそちらの商品説明を参照いただければと思いますが、今一度ご説明を。
まず、三層サンダルの名前の通り、こちらのソールは三層構造になっています。
特徴的なのは二層目に本格靴のようにコルクが敷き詰められていること。
これにより、履いていく内にインソールが沈み込み、自分だけの足形にパーソナライズしていくという優れた特徴が。
しかもコルクの入れ方は一定ではなく、アーチ部分は多めに入れるなど巧みに計算されています。
この唯一無二の仕様は、いわゆるハンドソーンウェルト製法を応用したもの。
ただし、縫いは入っていないため、ソールの柔軟性は損なわれておらず、履き始めから返りが良いのも特徴的です。
さらにアウトソールのトップリフト(かかと)部分は矯正靴で用いられるトーマスヒールを採用。
重心を中心に矯正する効果が期待でき、それを加味した上で自分だけの形にインソールが形成されていきます。
アッパーと中底に使用されている分厚いヌメ革は、皆さんご存知の超有名ハイブランドが品質を下げる前に独占的に使用していたベジタブルタンニンレザー。
吸水性・エイジング・柔軟性など、サンダルとして使用する革としてはこの上ない、極上クオリティのヌメ革です。
超小規模タンナーのため、本来は一社専売契約を結ぶ必要があるそうですが、とある事情により使用することができています。
吸水性が高いので汗をかいてもヌルヌルしにくく、履きこむほどにアジが出てきて素晴らしい表情に育っていく点も魅力的です。
バックストラップのパーツ一つとってもオーラがあります。
こちらの真鍮製バックルは薬剤で処理した後、職人が一つ一つ削りを入れたこだわりの仕様。
世界にひとつとして同じものが存在しない、オンリーワンな表情を見せてくれます。
そしてレギュラーサンダルとの大きな違いはアッパーの構造とデザイン。
サンダルに関する古い文献を研究し、最適な比率計算のもと、ビスポーク用のツイステッドラスト(捻れた木型)を用いて作り上げています。
甲当ての部分が爪先に向けて外側に流れていっているのが分かるでしょうか?
このように人間の足形に沿って捻れた構造の木型を用いることで、単純で直線的な木型のものとは一線を画す歩行性を実現しています。
ただ、捻れた木型かつ厚手のベジタブルタンニンレザーを用いてアッパーを成型するのは非常に難しく、量産にも全くの不向きなので、ここ日本でこういったものを見かける機会はほぼ皆無かと。
そういう意味でも非常に希少な一足と言えます。
「アッパー全体を使って歩く」というイタリアの高級ビスポーク靴における考え方が反映されたこのサンダルは、足に付いてくる感覚が一般的に流通している靴とは別次元。
結果、手に持った感じよりも履いた方が軽く感じますし、例えバックストラップがユルユルだったとしても、その辺のサンダルよりはるかに優れたフィット感を実感いただけるはずです。
これには本当に感動させられますよ。
ただし、ツイステッドラストを売りにしている靴でも、本当の意味でそれを理解し、矛盾なくしっかりと機能させられる形に作り上げられているものはごくわずかだそう。
ぜひこの機会に真のツイステッドラストの凄さをご体感下さい。
それではまずは妻に履いてもらいましょう。
あ、ちなみに昨年モデルと同様、こちらのサンダルは男女兼用、ユニセックス仕様です。
22cm前後の足の小さな女性から、28cmくらいまでの足の大きな男性まで、XXSからLサイズまでの5サイズ展開ですので、幅広い方にお召しいただけます。
サンダルは基本的に素足で履くものですから、足をいかに綺麗に見せてくれるかというのも大切なポイント。
ストラップの配置や甲当ての形状もバランスがよく、オープントゥなので女性の方はペディキュアが良く映えますね。
ソールが分厚くないので、スマートで野暮ったさがありません。
とはいえ、路面をダイレクトに拾う硬い感じはなく、ほんのり柔らかさのある足当たりが気持ちいい。
「石畳の上でも疲れにくいサンダル」を目指して作られているのも納得、とても快適です。
そして、あれ?と思われた方は鋭い。
そう、普通この手のストラップだと剣先は外側(カカト側)を向いてるものが多いんです。
しかし、ビンテージのものを確認していくと、古ければ古いほど剣先は内側に向いています。
なぜ内側を向いているのか?
これは人間の腕の可動域を考えると自ずと答えが出てきます。
皆さん、腕は前には180度くらい動かせますが、後ろには90度くらいしか動かせませんよね。
ということで剣先は前側を向いている方が力を込めやすく、ストラップを締めやすいというわけです。
じゃあ、なぜ現代では外側を向いているものが大半なのか?という疑問が残りますが、これはデザインとしての側面が大きいのではないかとのこと。
でもこの内側を向いた感じもデザイン的に素敵じゃないですか?
外向きだと剣先だけがアッパーに沿わずに遊んじゃいそうですし、実用性も含めてこっちの方が正解な気がします。
クラフト感がありつつも上品。
どことなくエレガントな雰囲気も匂わせます。
スカートに合わせると、女性らしさに力強さが加わり、独特のムードが醸し出されます。
このあたりは女性の特権ですね。
次は私が履いてみました。
履き心地の良さとルックスの良さに思わず笑みがこぼれます。
合わせたのは、リゾルトの711。
このTanカラー、インディゴデニムとの相性も抜群です。
打って変わってこちらはチャコールグレーのウールスラックスとのコーディネート。
ジーンズみたいなタフでカジュアルな生地とも良く合いますが、この手のキレイめ生地とも想像以上に好相性。
サンダル自体に品があるため、すんなり馴染んでくれます。
色が変わるだけで雰囲気一変。
シャープさが増し、どことなく色気も漂います。
仕様はTANカラーと全く同じ。
手の込んだバックルもブラックカラーを引き立てます。
もちろんツイステッドラストによる履き心地の良さも変わりありません。
実はこのグルカサンダル、当初はTANのみの1色展開というお話でした。
というのも、昨年リリースのレギュラーサンダルに比べてアッパー構造が複雑なため、これを組み上げ後に染色するのは難しいという判断だったんです。
ただ、私は「黒もあったら絶対素敵に違いない」という確信があったので、どうしても引き下がれず。
組み上げ後に色を入れるのが無理ならば、パーツに切り出す前に染色してはどうか?という提案をして、なんとか実現していただきました。
現場の苦労も知らず、無理を言ってすみません。
でも結果は想像以上、ヌメ色とは違った魅力に溢れたシャープな仕上がりに。
ちなみにこの染色についても、日本ではおよそ見かけることができない高度な技法が施されています。
ベルルッティなどに代表される、いわゆるパティーヌを施しているのですが、その手の製品にありがちな妙なテカテカ感が無く、革本来の表情も損なわれていない自然な仕上がりになっているのがお分かりいただけるでしょうか。
というのも、パティーヌ製品の多くは、顔料の上塗り、良くて染料の上塗り+色止めを施しているものが多く、プラスチックぽいチープな質感になりがち。
しかも表層的にしか色が浸透していないため、使用によって剥離し、不自然に色落ちします。
しかしこちらのサンダルは、それらの手法とは根本的に異なる手法を採用。
まず、染料の入る余地を増やすために革の脱色からスタートします。
これにより、革への染料浸透性が飛躍的に向上。
ただし、これには革それぞれの特徴を理解している必要があり、豊富な知識と経験が試されます。
染料の入り込みが多いため、筆などではなく指で調整しながら塗っていくのも特徴。
革内部まで染料が浸透するため色止めを施す必要がなく、妙なテカリ感のない自然な仕上がりになるのはこの手法ならでは。
使用に伴う多少の色抜けはありますが、剥離したような不自然な色落ちはしないのでエイジングのような感覚で変化も許容いただけるかと思います。
現行のベルルッティですらやめてしまったと思われる手法ですが、イタリアの高級誂え靴では今も昔もこの手法が取られており、この職人にとってはこんなことは朝飯前。
今回はパーツに切り出す前に染色を施しているため、あえて濃淡少なめのベタ塗り気味にしていただいていますが、中底などは光に当てるとうっすらムラ感のある美しい表情を見せてくれます。
足裏以外の肌に触れる部分は染色されていませんので、基本的に足に色移りする心配はありません。
ただ、足裏には履き始めは染料が付きますのでご注意を。
特に私のような汗っかきの方は付きやすいです。
ただ、これも最初は顕著なものの、次第に落ち着いてきますのでご安心下さい。
さらにアウトソールにもこだわりが満載です。
末長くお使いいただけるように何度でもオールソール可能な構造になっているのはレギュラーサンダルと同様。
しかもオールソール時にコルクの詰め直しをしなくてよい仕組みになっているため、自分だけの足形に変化したインソールをキープしたまま、何十年と履き続けることが可能です。
それ以前に、ハーフラバーがデフォルトで貼られているため、基本的にラバーの交換だけでオールソールは不要。
ランニングコストをかなり抑えられるというのも嬉しい仕様です。
そして目を引くのが真鍮製の化粧釘。
これももちろん見た目で採用しているわけではなく、摩耗しやすい部分の負担を軽減するために効果的に配置されています。
こちらもまずは妻に履いてもらいました。
はじめにご紹介したTANカラーは肌の色に近く、足とサンダルが一体化したような柔らかめの印象でしたが、対してこちらのBLACKは肌の色とのコントラストが際立ち、アッパーのデザインがよりくっきり、強い存在感を放ちます。
締まりのあるカラーということもあって、バックストラップもよりシャープでクールな印象に。
でも、「バックストラップタイプは脱ぎ履きが面倒なのでは?」と思われた方、大丈夫です!
先にお伝えした通り、捻れた木型を用いた優れたアッパー構造のおかげで、バックストラップはバチっと決まっていなくても歩行にそれほど支障がありません。
このため、ストラップは引っ掛ける程度でもOK。
ざっと足を入れて、クイっとバックストラップを上げるだけで装着完了。
わざわざ座ってバックルをつけたり外したりする必要がないので、見た目よりも脱ぎ履きは全然ラクチン。
これ、地味ですけど大きなポイントです。
ホワイトジーンズと合わせたモノトーンコーディネートも素敵ですね。
こちらもペディキュアがよく映えます。
お次は私の番。
ヴィンテージのミリタリーチノに合わせてみました。
元々グルカサンダルはミリタリーが起源ということもあり、さすがのマッチング。
やはり、ベージュ・キャメル系の色とブラックの相性は間違いないですね。
茶色のコバもさりげなくこの雰囲気に一役買っています。
うーん、長々とゴタクを並べましたが、理屈抜きにカッコいいですよ、これ…
ちなみにプライスはTanが税込49,980円、Blackが税込54,800円になります。
染め分のアップチャージがあるのでブラックの方がやや高くなりますが、ハイレベルなパティーヌを5,000円で享受できるというのはお得感すらあります。
そもそも、このレベルの部材、構造、作りのサンダルは他に存在しませんし、10万を超えるようなハイブランドや高級靴ブランドのサンダルの中でもこれほどのクオリティのものはまず見かけないと思います。
それが5万円前後で買えるという驚き、お手頃を通り越して破格の域です。
しかも今年は職人さん多忙につき、生産可能数は昨年以上に極少量。
なんと、レギュラーサンダルも含め、今年は全世界で当店だけのエクスクルーシブ展開です!
もう一度言いますが、今年は全世界で当店のみの販売ですよ!
こんなとんでもないレベルの逸品を、世界でもウチだけに限って販売させてもらえるなんて本当に恐れ多いですが…それだけに私も興奮が抑えきれません。
サンダルとしての快適性はそのままに、アッパー部分にビスポーク靴のノウハウを入れ込みアップデートさせた、グルカサンダルの究極形。
厚手のベジタンレザーならではのエイジングを楽しみながら、何十年とお使いいただける珠玉の一足です。
こちらは7月1日より、実店舗とOnline Shopにて販売開始。
入荷は各色各サイズ少量ですので、お早めのご検討をオススメします。
サイズや色によってはすでに売約済みのものもありますが、ほんの少しだけ追加生産も可能ですので、売り切れになっていても諦めずお問い合わせ下さいね。
しかし色選びには我々夫婦も相当悩まされています…
色によってかなり印象が異なるのはもちろん、それぞれに違った魅力があるのでこれはホントに甲乙付け難い…
合わせるボトムスの色との相性を考えてお選びいただくのが一番間違い無いような気がします。
私は2色とも欲しいです。
色選びについてもお気軽にご相談下さい。