見た目にダッフルコートらしい重厚感がありながら、風合い＆色合いの素晴らしさ、軽やかな着心地に度肝を抜かれるシオタらしい一品。

いわゆるビンテージの名作、GPOコートがモチーフ。
General Post Office(英国郵便局)だけでなく、Royal Navyでも使われていたと噂される謎多きアイテムですが、何と言っても他のダッフルコートにはないスマートなデザイン性が秀逸。

フードの無いすっきりとした首周り、深い打ち合わせでPコートを彷彿とさせる大ぶりの襟、センターから大きくずれて右に寄った前端など、どこかグレートコートのような威厳と風格を匂わせます。
トグルが腰より下についていないのは足捌きを考えてのことだと思いますが、視覚的にも上半身に目が行くことでスラッと見える感じ。

この素晴らしく完成されたデザインに、シオタらしい極上生地と絶妙なバランス調整を施すことで、オリジナルの弱点である着心地の悪さを払拭。
私もオリジナルのビンテージを所有していますが、硬くて重いため、カッコ良くてもなかなか手が伸びない一着だったりします。

しかしこちらは重厚な見た目からは考えられないほど軽くて快適な着心地。
生地の目付けのバランスには相当こだわったとのことですが、軽快さにこだわるあまり、目付けを軽くしてペラペラの頼りない質感になってしまっては元も子もないですし、逆に重厚感を求めすぎて過剰な目付けにしてしまうと重くなってしまい、せっかくのこのオリジナル生地の利点が薄まってしまいますから、そのさじ加減はかなり難しかったようです。

そんな苦労の甲斐あって、しっかりとした肉感・凝縮感、保温性がありながら、想像以上の軽さも両立した、素晴らしいバランスに。
店頭にはオリジナルもご用意していますので、ぜひ着比べてみて下さい。
圧倒的な着心地の違いに驚かれるはずです。

また、オリジナルはベタな単色Navyですが、こちらは奥深い絶妙な中間色というのもポイント。
Orange Brownと名付けられたこのお色、5,6色の複雑なカラーをワタの段階でミックスさせたメランジ糸で織り上げられており、その複雑なトーンはどこか印象派絵画を彷彿とさせます。

この手のトーンはネイビーやブルー、ブラックとの相性も抜群なので、男性のワードローブにすんなり収まりやすいかと。
秋冬のアウターはダークトーンが大半なので、これくらいの派手すぎなくて抜けのある色味はコーディネートの幅を広げてくれますし、オシャレ度をグッと引き上げてくれるため、特にオススメです。

オリジナルに比べて肩幅身幅はわずかにゆったりしている印象で、軽さと相まってストレスフリーな着心地。
重ね着の余地も十分にあるので、オーバーコートとしてバサっとラフに羽織っていただきたいですね。

品があるので、ボロボロの軍パンやジーパンの上から羽織って対比を楽しむのも良いですし、スーツの上から羽織っても違和感のない雰囲気。
ニス塗りされた風合いのよいトグルボタンなど副資材にも妥協なく、長年着込んでいって生地の風合いが増してくると、さらに貫禄が出てきて最高だと思います。

ダッフルコートは子供っぽくて敬遠していたという方にもオススメな、大人のためのとびっきり上質な一着です。

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以下、ブランド側からの説明文です。

生地はスビン×英式シェットランドヘビーメルトン
 
上質な原綿であるスビンコットンと、英国式紡績機でゆっくり紡がれた素朴なシェットランドウール、この相反する2者が組み合わさった、究極のヘビーメルトンです。
 英国式紡績機/通称「英式」は、100年以上前、産業革命時にイギリスで生まれた、言わばヴィンテージの紡績機です。

本国イギリスでは博物館に置かれるほど希少価値も高く、現地のプロも実際に来日して「まだこの機械が動いているのか！？」と驚かれるほど。
残念ながら時代の流れの中で、より速く・均一で・細く綺麗な糸が求められ、世の中からは消えていきました。

しかし時間がかかる「英式」では紡績段階でエイジングと呼ばれる原料本来の良さが蘇り、また今では数少ない旧型の紡績機だからこそ持つ不揃いで味わい深い素朴な糸を作ることができるのが最大の魅力です。
 今回はその「英式」を使い、プロの目で選び抜かれたイギリス由来の羊毛ピュアシェットランドウールを紡績しました。

シェットランド諸島で育まれたその羊の毛は、海風に耐え抜くハリコシと弾力を持った力強い原料で、これを時間をかけてゆっくりと「英式」で紡ぐことで、原料の味と本来の魅力を極限まで引き出したヴィンテージ感溢れる糸となっています。
その「英式」シェットランド1本の糸に、5～6色もの異なるカラーをブレンドさせることで、深みのある味わい深いMIX感を出しています。

粗く力強いそのメランジ糸を、通常よりも時間をかけてかなり高密度に織り込むことで、ヴィンテージ負けないオーラを放ちます。
経糸にはスビンコットンを使用することで、高級感と上質感も備わっています。
 
仕上げの整理加工では英式シェットランド特有の膨らみを持たせながら、原料本来の特徴を活かして仕上げています。
デザインは1950~60年代のイギリス軍のコート。(諸説ある謎多きアイテムです。)

フードがないのが特徴です。
元々のゆったりしたシルエットをそのまま踏襲しております。