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デザイナー平原さんがここ数年熱を入れて取り組んでいるワンピースパターンシリーズ。
展開すると一枚の布になる、特殊な型紙を用いて制作されているもので、無地Tシャツ・襟付きシャツに続き、ボーダーロンTモデルが新登場しました。

これがかなりの意欲作。
過去のロンTモデルをボーダー生地で作り直したような単純なものではなく、さらに独創性に富んだ唯一無二の一着に。

まず、Tシャツと呼んでいるものの、こちらは一般的なTシャツに用いられる編み生地ではなく、いわゆるシャツなどと同じ織り生地を使用しているため、厳密に言えば襟なしのプルオーバーシャツといったところ。
しかもアームホール部分にシームのない特殊なパターンが採用されたオーバーサイズシルエットということもあり、一般的なTシャツとは一線を画す独自のニュアンスが出ていて、その雰囲気は秀逸です。

切り替えが特殊な分、生地の使い方も贅沢で余計に用尺がかかるにも関わらず、やたらお手頃なプライスも相変わらず。
大丈夫なのかとこちらが心配になります...
(しかも今回は特殊な転写プリント代がかかるのに)

と、ここまでは以前の無地のものと同じですが、違うのは生地と柄。

まず、ポリエステル65%コットン35%の生地がかなり独特です。
誤解を恐れずに言えば、小学校の給食係が着る割烹着の生地をやや薄手でしなやかにしたような質感。

決して高級感があるわけではないのですが、やたらとこのデザインやシルエットにマッチしており、このチープ寄りの質感もアーティスティックな雰囲気を醸し出すのに一役買っている感じです。

さらにこのボーダー柄が超特殊。
サッカーなどのユニフォームに個人名や背番号を1枚1枚プリントするような工房にて転写プリントされているのですが、あえてボーダーの配置にランダム感を持たせてあるため、1点1点表情が異なります。

生地端までのラインの距離もまちまちですし、前身頃と後身頃のボーダーが繋ぎ目部分を境に大きくずれていたり、ほぼ繋がっていたりとバラバラで、独特な裁断と相まってアブストラクトなムードが加速。
後身頃中心の繋ぎ目も微妙にズレている個体もあって、どれも表情豊かです。

着込んで洗い込んでいくと、このボーダー柄が部分的にかすれてきて、また違った不規則性も生まれてきそう。
他にはない、とてもユニークな構造と製作手法ですね。

セントジェームスなどのような肉厚ラッセル生地とは異なり、サラッとした布帛ですので比較的暖かい季節も着やすく、それでいてペラペラに薄手というほどではないため、インナーにハイネックカットソーや襟付きシャツを挟んだレイヤードスタイルも楽しめます。
適度に肌離れも良く、ポリエステルの速乾性、コットンのエイジングも適度に楽しめるかと。

春や秋に一枚でサラッと着こなすのも素敵ですが、袖をガッとたくしあげて夏も着ていただきたいですし、肌寒い季節もインナーとして差しになってくれるため、かなりのロングシーズン活躍してくれそうです。
アウリコのシャツと重ね着しても良さそうですね。

落ち感が良いものの、ハリのある布帛生地ということでダラッとする感じもなく、カジュアルながらもどこか品の良い感じ。
ごくわずかに裾部分を狭めた型紙設計になっており、少しだけ引っ掛かりが出てまとまりやすいよう配慮されていたりと、シンプルながらも細かいこだわりが詰まっています。

一枚袖のコートと同じく、ショルダーラインはどんな体格の方にも馴染みますので、女性の方が目一杯オーバーサイズで着てもサマになりますし、ご夫婦やカップルでシェアいただくのもいいでしょう。

Mは、女性の方全般がしつこくない程度のオーバーサイズで着ていただけますし、一般的な男性が程よくゆるめに着るのにちょうど良いくらいのサイズ感。
Lサイズは大柄な方や男女問わずオーバーサイズ感を強調したい方にオススメです。
（Sは製造されていません）

こちらのレッドボーダーは、朱色系の赤ながらもややかすれたような色乗りで主張が強すぎず、はじめから少し柔らかめでこなれた雰囲気に仕上がっています。