サンリミットらしい巧みなバランスで仕立てられたハーフジップシャツが新登場しました。

定番のブロードボックスシルエットシャツをジッパー仕様に置き換えたような単純なものではなく、型紙・デザインともに一から新たに作り上げた流石の一着。
プルオーバーということで、フロントが全開になるいつものシャツとはニュアンスに違いがあって新鮮です。

襟元にはチンストラップが付属。
ジップフロントも相まって、シャツとはいえアウターっぽいニュアンスがVゾーンには感じられます。

とはいえ、生地は定番シャツと同じ80双のコットンブロードですので比較的薄手。
袖捲りすれば夏もOKで、一年中活躍します。

フラップ付きのダブルチェストポケットは定番の大開襟シャツを彷彿とさせますが、こちらはフラップのヘムがV字になっている上、コバステッチもかかっているため、全然別物な雰囲気。
どちらかというと、こちらの方がオトコっぽく力強いイメージです。

また、ジッパーもそっけなくどこにでもありそうなタイプをあえてチョイス。
高級感や綺麗め感をあえて外した、量産っぽい無骨さが表現されています。

とはいえ、細かい運針、細幅の巻伏せ本縫い、2枚はぎの袖など、高級ドレスシャツに用いられるようなディテールが散りばめられており、相変わらず作りは上質。
この感じだと裾はスクエアカットかと思いきやラウンドテール、袖先は剣ボロ仕様など、ディテールの抜き差しも秀逸です。

デザイナーの出身であるコムデギャルソンシャツを彷彿とさせつつも、オリジナリティ溢れる美しい仕上がり。
ボクシーなゆったりシルエットながら、線の細かさや巧みなディテールバランスにより、だらしなさ皆無の品のある面構えです。

タフな生地ですので、ガンガンに洗い込んでアジを出していただきたいですね。
ピシッとプレスしてモードっぽく着こなすのも悪くないですが、洗いざらしでナチュラルにシワが刻まれた表情は非常に魅力的。

洗い込んで炭黒のようなスモーキーなトーンに変化した様も圧巻です。
経年変化も存分にお楽しみいただけます。

ハーフジップならではのVゾーンのニュアンスを活かした着こなしがオススメですが、ジッパーを上までしっかり上げてチンストラップを留めるだけでも、普通のシャツとは違った雰囲気を醸し出せますし、ジッパーを開いてインナーを積極的に見せたレイヤードスタイルも無限の可能性があります。

インナーにはモックネックやタートルネックのニットやカットソーを合わせることで柔らかさを足してあげたり、あえてノーカラーのシャツを入れてシャツonシャツというのも面白いかと。
フード付きのものをインナーに合わせるというのもアリだと思います。

逆にVネックニットのインナーに持ってきたり、テーラードジャケットのインナーで合わせたりしても、プルオーバーのハーフジップシャツということでかなり新鮮な雰囲気を醸し出せるかと。
コーディネートの楽しみが広がります。

タックインもタックアウトもOKな着丈というのも便利で使いやすいですね。
裾をタックインするかタックアウトするかでもニュアンスが異なりますし、袖を捲ることでもバランスを大きく変えられますので、スタイリングを考えるのも楽しいです。

袖丈は手を伸ばした状態でも釣りあがることのない、クラシックなやや長めの設計。
カフ周りもあえて緩めのフィッティングにしてあるため、手の甲にかかって邪魔という方はカフスボタンの位置を付け替えるなど、自己流にカスタムしていただくのもオススメです。