「Journal記事がぜんぜん更新されませんね〜」
「もうやる気ないんスか?」
ご来店のお客様から、ことあるごとに小言を言われ続ける苦悶の日々。
ナイーブな私にはもう限界です。
違うんです。
BRUTUSに掲載されたことも手伝ってか、おかげさまで連日新規のお客様を中心としたご来店が相次いでおり、我々夫婦はその接客で毎日ヘロヘロなのでありんす。
11月前後は最後の入荷ラッシュで忙しいというのもあるんす。
40過ぎの立派な社会人でも言い訳したくなる夜があるんす。
最近折りたたみ自転車を買ったら1週間でパンクしたんす。
で、近所の自転車屋のおじいちゃんに見てもらったら、「パンクはしてなくて空気が抜けてるだけだ」と言われたんす。
さっそく空気パンパンに入れてもらったっす。
そしたら翌日秒速で空気が抜けたんす。
再度おじいちゃんに見てもらったら、「あ〜やっぱりパンクしてたわ〜」って言われたんす。
これが若松クオリティなんす。
タイヤに空気が入ってない自転車はただの重い鉄の塊なんす。
先日、5歳の息子がなにかの曲を口ずさんでるな〜と思ってよく聞いてみたらメタリカだったんす。
バッテリーのAメロっす。
自分がいつも口笛で吹いてたから覚えたみたいっす。
5歳児の学習能力ハンパないっす。
と、話題には事欠かない刺激的な毎日が続いていますが、気を取り直して1ヶ月半ぶりにまともな商品紹介いきたいと思います。
CIOTAより入荷しました、素晴らしいギャバジンコート。
あ、今期よりお取り扱いが始まったということで、まずはブランドのご説明をさせていただきましょうか。
CIOTA(シオタ)は、岡山にて縫製工場を営んでいるSHIOTAがスタートしたファクトリーブランド。
岡山といえばジーンズなどデニム産地として有名ですが、そういったカジュアルボトムスの縫製工場としては県内トップとも言われている実力派。
そしてSHIOTAが面白いのはテキスタイル事業部があり、生地屋でもあるという点。
つまり、自社でオリジナルの生地を製造しているんです。
この両者を生かしたオリジナルブランドがスペル違いのCIOTA(シオタ)。
高度な縫製技術と、ありえないほど贅沢な生地使いを両立しながら、ファクトリーブランドらしい高いコストパフォーマンスを実現。
そしてその類まれな環境を120%生かした、妥協のないモノづくりを先導するのはデザイナーの荒澤さん。
ジーンズを筆頭に、古今東西の名作と言われるワーク・ミリタリーウェアをオマージュした、シンプルなアイテムが揃います。
しかし、それらは尋常ではない生地使いと細かな配慮が行き届いた極上の着心地にアップデートされたもの。
ルックスはヴィンテージのそれと見紛う雰囲気がありながら、ストレスフリーで快適すぎる着心地を持ち合わせているというのが人気の秘訣かと思います。
というのも、古着人気もあってヴィンテージものは全体的に価格の高騰が著しい上、状態の良いものやマイサイズを見つけるのは年々難しくなっていますよね?
しかも当時の技術や用途に合わせて作られているそれらのアイテムは、スタイルとしては確立されていて普遍的な名作と呼ばれるものが多いものの、着にくかったり、肌触りが悪かったり、耐久性に難があったりと、現代の日常着としては問題があるものも多かったりします。
オシャレは我慢、と言い聞かせてそれらを着るというのもスタンスとしては素敵ですが、年齢とともに着心地や快適性というのは洋服選びにおける最重要ポイントになっている方も多いはず。
とはいえ、いくら快適だからといって全身スポーツウェアで常に過ごすのも味気ない。
そんな大人の男女に向けた、超上質でリアルプライスのカジュアルウェアの最高峰がCIOTAと言っていいでしょう。
デザイナーの荒澤さんは完全にヴィンテージマニアですが、彼が作り出すのは当時物の単純な再現、レプリカの追求ではなく、普遍性がありながらも時代感をも捉えた現代性を帯びたニューヴィンテージアイテム。
洋服が主役になるのではなく、個々人のスタイルを引き出すシンプルで着心地の良いカジュアルウェアが揃います。
ということで服単体が悪目立ちすることはありませんし、コーディネートにすんなり溶け込んでくれる余白があるため、汎用性も抜群です。
シンプルとはいえ、生地や縫製の素晴らしさから、明らかにその辺の量産品とは異なるオーラが。
そしてご試着いただくと皆さん、その着心地の良さ、肌触りの良さに完全にノックアウトされてます。
ということでネットでは良さが十分に伝わりづらいアイテムが多いのも事実。
それなのに、ぜんぜんご紹介できてなくてスミマセン…
あと、意外にも若い方からの人気が高いそうで、プレミア価格で取引されてたりするほど加熱している商品もあるらしいですよ。
ウチでも一部商品は入荷後即完売してますしね。
ま、このクオリティであれば人気が出るのも納得ですが。
そして今回ご紹介するのは、一枚袖のコットンギャバジンコート2種類。
まずはバルマカンコートから。
あ、先程ご説明できてませんでしたが、シオタではすべての製品にスビンコットンを使用するというのがポリシーです。
ここでスビンコットンとはなんぞやという話になってくるのですが、簡単にいうと繊維が長くて細い超高級な綿です、はい。
以下、詳しい説明になりますが興味のない方は読み飛ばして下さい。
スビンコットンとは…
インド原産のスジャータ綿とシーアイランドコットンを交配させた超長繊細綿。
超長綿といえばエジプトのギザコットンやアメリカのスーピマコットン、中国の新疆綿などが有名どころですが、スビンコットンはインド南部の限られた地域でのみ栽培されており、手積みで丁寧に収穫されているのも特徴のひとつ。
シーアイランドコットンに次ぐ、最も長い綿繊維で、ギザやスーピマを超える細さも持ち合わせています。
毛羽の少ない滑らかな糸を作ることができ、油分も多くてツヤがあり、強度が高いのも特徴。
収穫量は極めて少なく、高額で取引されている貴重なコットンです。
なぜそんな高級綿を使うのか?という話ですが、もうそれは各製品が物語っています。
スビンコットンだから実現する極上の肌触り、面構え、軽さなど、それを使うだけの確かな理由が見た目からも着心地からもビジバシ感じられます。
そんなスビンコットンを惜しげもなく経糸横糸にパンパンに打ち込んで織り上げたギャバジン生地は、艷やかで見るからに高級感ムンムン。
ハリがありながらもソフト、そしてなんといっても軽い!!!
80年代のバーバリーのものが元ネタのようで、私もその時代のコートを持っているのですが、全然違います。
まぁ、オリジナルの方も別に重くはないですし、裏地がコットンかキュプラかという差もあるものの、このシオタのものは「軽やか」「滑らか」という言葉がしっくり来る驚きの着心地。
もうね、「ふぁさ〜、うわー、スゲ~」って感じですよ。
小学生並みの表現になっちゃいますけど。
で、いわゆるラグラン一枚袖のタイプになります。
古着界隈では相変わらず人気でご存知の方も多いとは思いますが、袖を数枚の生地で分割せずに一枚の生地で仕立てたもの。
ラグランスリーブで肩山部分から腕の外側かけて縫い目が入らず、どんな肩幅の方にでもナチュラルにフィットしてオーバーサイズでも着れちゃう、ということで今の空気感にもピッタリ、大人気の形です。
ただ、一枚袖は単純な構造なだけにパターンや縫製に力量が問われるのも事実。
下手をすると脇のあたりを中心にグシャグシャと汚く生地が溜まってしまったりするのですが、こちらのコートは見え方もさすがに綺麗です。
パタンナーさんが優秀というのもあると思いますが、縫製の素晴らしさが一役買っているのは間違いないかと。
実はこちらのコートに関しては自社で縫製せず、外注しているんです。
縫っているのはあのサンヨーソーイングさん。
バーバリーに見限られて大変な渦中にある三陽商会の子会社ではありますが、50年以上コートを作り続けてきた実績は伊達ではなく、特にコットンギャバジンコートにおいては名実ともに国内トップの縫製工場かと思います。
餅は餅屋。
無理に自社で縫うことなく、コストアップしてでも外注することで実現した完成度。
極上生地・秀逸なパターン・高度な縫製技術が三位一体となり、類まれな一着に仕上がっています。
さて、説明はこれくらいにして着用画像を。
(モデル:身長168cm体重55kg細身男性)
【コート : CIOTA ¥96,800 / Size : 4】
【パンツ : WESTOVERALLS ¥20,900 / Size : 27】
【シューズ : MASTRO PIERINI ¥ASK / Size : 38】
シンプルながらも有無を言わさぬ存在感と説得力。
膝下ロング丈で裾に向かって広がる迫力あるシルエットながら、一枚袖特有のナチュラルなショルダーラインが柔らかさを演出。
スビンコットンならではの光沢感も感じられ、明らかに高級感があります。
かなりゆったりしていますが、生地にハリがありすぎず、落ち感もキレイなため、不必要にボワッと広がることなく、大人の余裕を感じさせるようなエレガントなシルエットに。
【ベスト : LAVENHAM ¥31,900 / Size : S】
【シャツ : SANS LIMITE ¥36,300 / Size : 0】
【ハイネックカットソー : GICIPI ¥10,780 / Size : 3】
身幅も腕周りも十分なゆとりがあるため、インナーにしっかり着込めば真冬までOK。
単体で保温力がありすぎないので、春や秋も大活躍、かなりのロングシーズン重宝します。
結局、こういうコートが着れる期間が一番長くて便利なんですよね。
でも案外これくらいの厚みのコートは持ってないという人は想像以上に多いようで。
分厚いアウターはある程度揃っているという方はぜひ一着手に入れていただきたいところ。
とっても重宝してくれると思いますよ〜
先程の説明だと分かりにくかったかもしれませんが、これがラグラン一枚袖です。
肩から袖のアウトラインにかけて切り替えや縫い目がないことがご確認いただけると思います。
表地と同色のキュプラ生地を袖裏まで配した総裏仕立ても贅沢な仕様。
非常に滑りが良くて静電気も起きにくく、吸湿発散性もあるため、ポリエステル裏地のように汗をかいてもベタッとしにくいというのも嬉しいところです。
高価ではありますが、見えない裏地にまでこだわり抜く、シオタのモノづくりの姿勢がこういったところにも表れています。
襟を立ててボタンを留めても良い雰囲気。
このヌメりを感じさせるような光沢感もたまりません。
ドライクリーニングで運用して、このキレイな状態をキープしながら着ていただくのも良いですし、あえてガンガン洗ってアタリを出し、スモーキーなヴィンテージ感を目指すというのもカッコ良さそうです。
もう一着はタイロッケンコートモデル。
トレンチコートの原型と言われているものですが、今だと某ブランドのものが有名ですね。
ただ、あちらとはモチーフとなっている型が異なります。
こちらの方がテーラードジャケットでいうところのゴージラインが低く、Vゾーンは広め、フロントに2つのバックルがくるなど、よりクラシカルな印象。
膝下ロング丈で、裾にかけて広がるAラインの迫力あるシルエットは先にご紹介したバルマカンコートと同様です。
そして視覚的にかなりのポイントとなるのが、フロントのダブルバックル。
私もいちおうバーバリーのタイロッケンコートは持っているのですが、この形とは違うタイプなので最初はバックルの留め方が分からず焦りました…
ただ、一度理解してしまえば留めるのは簡単。
というかこれ、デザインとしてもメチャクチャカッコ良くないですか?
トレンチコートのようにエポーレットもなく、前身頃にボタンも乱立していないシンプルなコートだけに、このバックルが際立ちますね。
まぁ、フロント全開でバサッと羽織るのが主な使い方になると思いますが、たまにはキチッとベルトを絞って颯爽と歩いてもらいたいところです。
バルマカンコートと比べるとVゾーンに余白が多いため、インナーによって表情を変えやすいのもこちらのコートの特徴。
パーカーでカジュアルに振るもよし、詰まりすぎないクルーネックでデコルテラインを出して軽快感を加えるもよし、もちろんスーツの上から羽織ってビジネスシーンでお使いいただくのも良いでしょう。
袖は比較的大振りですが、袖口をストラップで絞ってスッキリさせてもカッコ良いです。
無造作にプリーツが入る感じがたまりません。
ベルトと裾の中間地点くらいに裾のバタつきを抑えるためであろう、ボタンが付属。
足捌きがしにくくなるのでほとんど使うことはなさそうですが、このあたりも忠実に再現されています。
こちらもラグラン一枚袖ならではのナチュラルショルダーで、ヌケ感抜群。
(モデル:身長168cm体重55kg細身男性)
【コート : CIOTA ¥96,800 / Size : 4】
【ベスト : LAVENHAM ¥31,900 / Size : S】
【シャツ : SANS LIMITE ¥36,300 / Size : 0】
【ハイネックカットソー : GICIPI ¥10,780 / Size : 3】
【パンツ : WESTOVERALLS ¥20,900 / Size : 27】
【シューズ : MASTRO PIERINI ¥ASK / Size : 38】
ラフにバサッと羽織るだけでサマになります。
襟を立てると迫力倍増。
たっぷりとした蹴回しが動きに合わせてなびき、エレガンスも感じさせます。
キュッとベルトで絞ってあげるとまた違った魅力がありますね。
バックスタイルも秀逸。
腰まであるインバーテッドプリーツも趣があり、ベルトのシングルバックルもこれまたアクセントになっています。
横から見ても後ろから見ても惚れ惚れするような美しさ。
台襟にはしっかり補強ステッチが入っていて、流れるようなのぼりの美しさにも魅了されます。
丁寧にクセ取りして付けられた襟などからも、サンヨーソーイングさんの実力が見て取れますね。
絶妙なトーンといい、ヌメリのある光沢感といい、こちらのベージュ生地も高級感ダダ漏れの素晴らしい質感。
最後に折角なのでタイロッケンコートの着方をご紹介。
まずは金属製のフックで右前身頃を身体に固定します。
留まりました。
お好みに応じて太腿あたりのボタンフックも留めて下さい。
そして、左前身頃の前立て端に付属するバックルに、
右後ろから廻してきたベルトを通します。
お次は左後ろから廻してきたもう一つのバックルに先程のベルトの剣先を通し、
絞ります。
完成です。
背面のバックルでも絞り具合を調節できます。
この通り。
ベルトを留める場合は、しっかり絞ってドレープを効かせた方がカッコいいんじゃないかと個人的には思います。
あと、襟とラペルを立て、
それぞれをボタンで留めると、
これまた違った雰囲気に。
ちょっとキザな感じになるので多用はオススメしませんが、たまにはこういう着方も新鮮でいいですね。
風の強い寒い日なんかに自然体でこういう着方をしていたらメチャクチャカッコ良さそうです。
ということで以上。
ちなみにご紹介したのはすべてメンズモデルでしたが、バルマカンコートのみレディースモデルも入荷しています。
こちらはメンズとは違い、ベージュカラーをチョイス。
女子がこういう極上仕立てのクラシックなコートを着ると、これまた素敵なんですよね〜
ということで男女問わず激しくオススメします。
ちなみに、よりカジュアル寄りのミリタリー系アウターも秀逸なやつが数種類入荷していますので、気力・体力・時の運が揃ったときにでもご紹介させてもらいますね〜
CIOTA(シオタ)、素晴らしいです。
ぜひ一度お試し下さい〜