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Sans Limite / Linen Over Dyed Series

Journal / Items, Sans Limite

今シーズンのSans Limite(サンリミット)も豊作揃い。
シャツの完成度の高さは言わずもがなですが、それ以外のアイテムも充実しています。

個人的にも楽しみにしていたセットアップがやっと入荷してきましたのでご紹介します。

それがこのリネンオーバーダイシリーズ。

デザイナー門田(もんでん)さんの出自であるコムデギャルソンシャツもそうですが、どちらかというとツルッと整った生地使いが多い印象のサンリミットにしては異色の、ラフで豊かな風合い。
とはいえ、こういう風合いのリネン生地アイテムはだいたい似通ったものに落とし込まれがちです。

しかしそこはさすがサンリミット。
デザイナー自らが引く見事なパターンと優れたディレクションで、ただのヴィンテージの焼き直しでもなく、それでいて奇抜でもない、シンプルながらも個性も光る、絶妙なバランスに仕上がっています。

まずはジャケットから。

(モデル:身長168cm体重56kg細身男性)
【ジャケット : SANS LIMITE ¥85,800 / Size : 0】
【ベスト : LAVENHAM ¥31,900 / Size : M】
【シャツ : FRANK LEDER ¥64,900 / Size : S】
【パンツ : ENGINEERED GARMENTS ¥45,100 / Size : XXS】

製品について多くを語らない門田さんですが、これについては「肩幅が広いのに肩傾斜が強いジャケットが作りたかった」とのこと。

さらに20世紀前半くらいまでに見られる、裾が後ろにはけるようなパターン。
とはいえ、アームホールはその手のジャケットに多い、過度にコンパクトなものではなくゆったりしており、緊張感を強いられることなく、重ね着の余地も十分。

肩パットはおろか、垂れワタなどすらない完全なアンコン仕立てかつ、肩傾斜の強さや製品染めによる生地の柔らかさも寄与し、肩幅広めとはいえ、バブルスーツのような鎧感も時代錯誤感もなく、現代性も持ち合わせた秀逸な匙加減。

第一ボタンだけを留めると、八の字に広がるフロントラインが強調され、サックコートのような雰囲気も。
かなり古い年代のジャケットからの引用が見られるとはいえ、いかにもヴィンテージを再現しましたーといった安直な感じではなく、独自のムードもしっかり纏わせているあたりはさすがです。

肩幅だけでなく身頃も非常にゆったりしており、テーラードジャケットながらもドレスで堅苦しいタイプではないので、カバーオールのような感覚で気負わず普段使いしやすいかと。
シワも気にならない、というかむしろ味わいになるタイプですので、管理がラクというのも嬉しいポイントです。

画像には写っていませんが、フロントボタン裏には力ボタンを配すなど抜かりのない仕様。
耐久性にもしっかりとした配慮が見られます。

見返し部分をたたいてステッチを表に露出させることで、見た目的にはカジュアル感をプラス。
襟から前立てにかけてはフラシ芯が入っているので、硬くならないのに安定していてヘロヘロした感じになりません。

大振りなウッドボタン(?)も良い仕事をしていて、使い込んでところどころ色が剥げたようなニュアンスもアジがあります。

ペラペラすぎない適度な肉感のリネン生地に、生地や糸、ワタの段階ではなく、製品の状態で色をつける製品染め(後染め)を施すことで、うっすらムラのあるニュアンスのオリーブカラーに染め上げてあります。
このトーンも絶妙ですが、製品染めにより洗い込んだような状態になることで、凹凸やネップ感、シボ感がランダムに刻まれた豊かな表情が表出。

袖口は、あえて切羽や飾りボタンすらないシンプルな筒袖になっています。
これにより袖丈詰めも容易ですが、ロールアップもしやすいので、ちょっと長い場合でもカットせずにラフに捲り上げていただくだけでOK。

全体的に太くゆったりとしていながら、最後の袖口にかけて急にすぼまるカーブの効いた袖も雰囲気があります。

ビルドアップした現代的なブリティッシュスーツなどとは真逆の、強く傾斜したなで肩のラインが、まさに肩肘張らないリラックスしたムードを演出。

ジャケットの顔であるラペルの大きさやゴージライン、Vゾーンの広さなどのバランスも秀逸で、こちらもどこかサックコート的なニュアンスを感じさせるものの、シルエットなど全体として巧みにディレクションされているため、いかにもなコテコテのヴィンテージ感は鳴りを潜め、フラットな雰囲気でコスプレっぽくなりません。

ボタン二つ掛けにすると、よりワークな雰囲気に。

身頃はもちろん、袖裏も付かない完全な一枚仕立て。
軽やかで清涼感がありますので、夏も着用いただきやすいかと思います。

リネン特有のコシは残っているとはいえ、製品染めによって洗い込んだような風合いが出ていて、肌当たりはソフトです。

そして、襟を立てるとそこにはボタンが。

ラペルを寝かせたときに表に響かないように、こちらは他のボタンよりも小振り。
もちろん留め外ししやすいようにしっかり寝巻きされています。

ラペルのフラワーホールを使ってボタンを留めることで、

ブルゾンやカバーオールのような面構えに。
よりカジュアルな雰囲気で着用いただけます。

サイバラを入れない、いわゆる二枚裁ち。
肩線も後ろに逃してあったりと、やはり1900年代前半のジャケットがモチーフではあるようです。

実はもう一色ありまして、それがこの鮮烈なレッド。

(モデル:身長168cm体重56kg細身男性)
【ジャケット : SANS LIMITE ¥85,800 / Size : 0】

店頭では「カズレーザーみたいになりそうだからムリ」という声もいただきますが、シルエットや生地感など全然違うのでその心配は無用です。

確かに派手ではありますが、それが良いんですよ。
まぁ、女性のほうが抵抗なく着こなしやすいかもしれませんね。

あ、でもこれは私が自分で着たいと思ってオーダーしたものなので、売れなくて全然OK。
とりあえずオンラインショップにもアップしていますが、反応がなければすぐに私が購入しますので、ピンときた方はお早めにどうぞ〜

そして共布のパンツ、これがまた最高なんです。

(モデル:身長168cm体重56kg細身男性)
【パンツ : SANS LIMITE ¥47,300 / Size : 0】
【シューズ : CALMANTHOLOGY / 私物】

形は大定番のJUDO PANT(ジュードーパンツ)。
あ、ちなみにセットアップもオススメではありますが、あくまでジャケットとパンツはそれぞれ単品での販売になりますので、必ずしも上下セットでご購入いただく必要はありません。

その名の通り、柔道着のようにウエスト紐を絞るスタイルが特徴なんですが、これが傑作でして、シーズンごとに様々な生地でリリースされ、その度に当店でも買い付けてきました。
が、今回のリネン生地との相性の良さは歴代屈指かと。

デニムやチノクロスなどの肉厚でハリのある生地の場合、よりボリューミーなシルエットが形成されてそれはそれで素敵なんですが、ウエストの絞る部分がゴワゴワしすぎたり、結び目にボリュームが出過ぎてタックアウトしたトップスがポコっと盛り上がる、といった点が気になる方もいらっしゃいました。

その点、このリネン生地であれば厚みもそこそこ、柔らかいのでごわつきにくいですし、結び目も極端に膨らみすぎることなく、総じて着こなしやすい印象。
落ち感もあるので、シルエットもいつもよりスッキリして見えます。

ヴィンテージのUS NAVYデニムのように、アウトシームのない巻きパンツ仕様なのも特徴的。

そして、なんと左右のハンドポケット口は揉み玉縁。
ビスポークのスーツなどで多用される高難度のディテール、それをこんなカジュアルパンツに採用するとは…

こういうのをこれ見よがしではなく、サラッと入れ込んでくるあたりがいかにもサンリミットらしいところ。

当然、闇雲にこの仕様にしているわけではなく、巻きパンツのスッキリ感を損なわないように呼応させている形。
しかも揉み玉だと狭い幅で生地が幾重にも重なっているので非常に丈夫、負荷のかかりやすいハンドポケット口には最適だったりします。

細幅で非常にスマート、この仕様が入ることで全体がグッと引き締まる感じ。
今回の生地はまぁそこそこの厚みなのであれですが、ヘビーオンスのデニム生地などでも平気でこの仕様を貫きますから工場側は大変だと思いますが…

このズドンと太幅のストレートシルエットが秀逸なんですよね〜
わずかに内振りに弧を描くように見える、絶妙なパターン。

初期マルジェラがお好きであれば、同じくサイドシームレスのマックイーンパンツを想起される方もいらっしゃるかと。
ただ、あちらよりもう少しボリューミーでレングスはスッキリ目なので、グラマラスな感じはなく、やはり別物です。

ウエストサイズはベルトの締め具合で自由に調整可能ですので、ハイウエストでスッキリ履くも良し、腰で落としてルーズに履くも良し。
コーディネートに合わせてアレンジできるというのもポイントです。

なお、最小の0サイズでもウエストは100cm近くありますので、サイズについてはウエストではなく、太さやレングスでお選び下さい。
幅広い体格の方にアジャスト可能、ということでご家族やカップルでのシェアもやりやすいと思います。
小柄な方でレングスが長いようでしたらロールアップすれば良いですし、もちろんお直しでカットすることもできます。

セットアップで着用いただくと、やはり雰囲気抜群。
上下ともにカジュアルな雰囲気なので、スーチングとはいえ、かしこまった印象はなく普段使いにもピッタリ。

あと、セットアップはそれだけでサマになるので、コーディネートを深く考える必要がなくてラクチンというのは皆さんおっしゃることです。
インナーはTシャツでよりカジュアルに振ってもいいですし、たまにはタイドアップして砕けたドレススタイルを楽しんでいただくのも素敵だと思います。

私は今からガンガン着まくってアジを出していこうと画策中。
リネンなので夏に向けても着やすいですから、これはメチャクチャ重宝しそうです。

シワも気にならないので、日中暑くなったらジャケットは脱いで腰に巻けばいいですし、パンツは肌に触れる部分が少なくて風抜けも良いので真夏も快適。
ジャブジャブ洗えてお手入れも簡単。

カジュアルに使えて着込むほどに味わいが深まる、他とはひと味違う上質なセットアップ。
上下ともに非常にオススメです〜

Written By Kohei

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