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Calmanthology / Curtis

Journal / Calmanthology, Items

妥協知らずの徹底した美意識の追求のもとに生み出される、CALMANTHOLOGY(カルマンソロジー)のシューズたち。
思わず息を呑むようなその美しさに虜になる方多数、着実にファンを増やし続けています。

意識的に抑揚を抑えたストイックなシルエットにもかかわらず、一目で心掴まされるのはデザイナー金子さんの飽くなきこだわりの賜物。
下手をするとのっぺりとした凡庸なものに成り下がってしまう危険性があるにもかかわらず、絶妙な匙加減と量産靴の範疇を超えた作り込みにより、明確な違いを感じさせてくれます。
これ見よがしに華美でグラマラスだったり、テクニックをひけらかすようなものとは一線を画す、静かにオーラ漂う逸品揃い。

そんなカルマンソロジーから新作が入荷しました。

その名もCURTIS(カーティス)。
アンティークシューズに現代性と独自の美意識を注入してアップデートしたような、スペシャルな一足です。

同じ外羽根プレーントゥとしては定番のA735がありますが、あちらのUS NAVYサービスシューズ然とした佇まいとは違った魅力がこのカーティスには詰まっています。

遠目からでも明確に感じられるクラシカルなムードにシビれます。

こちらもサービスシューズをベースにしているものの、ショートノーズ、テーパードヒール、非常に細かい運針、ワイドな平紐、などのディテールの積み重ねにより、さながら20世紀前半あたりのヴィンテージシューズをも彷彿とさせる佇まいに。

海外の蚤の市などでちらほら見かけるような、このあたりの年代の古靴は、現代の量産品にはない独特な美しさや手間を惜しまない作り込みが魅力で私も常に探してはいるものの、コンディションやサイズの問題もあって自分に合うものを探すのは至難の業。
デッドストックとなればなおさらです。

そんな中、このカーティスを初めて見た時は興奮しましたね。
古靴の雰囲気や作りの良さを匂わせながら、もちろんそこにはカルマンソロジーらしい美意識が通底しており、ただの懐古主義に留まることなく現代性をも持ち合わせた絶妙なバランスで作り上げられています。

これは個人的にもぜひ欲しい!という気持ちもあって、迷わずオーダーしました。

丸みのあるトゥや幅広な平紐がミリタリーシューズを匂わせつつも、抑制的なコバの張り出しや繊細なステッチワークが無骨さを中和。

接地面に向かって弓なりにテーパードする、クラシカルなヒールもポイントです。
中世の女性靴からの引用とのことですが、全体的なフォルムとの繋がりも美しく、紳士靴として違和感なくまとまっています。

ドレスシューズとしては高めの3cmヒールですが、やりすぎな感じもなく、私のような小柄な人間にとってはナチュラルに身長が盛れというのも地味に嬉しいところ。

そしてアッパーのレザーも、このカーティスのために作られたオリジナル。

ライダースジャケットにも使われるイタリア産の硬質なヌメホースレザー(馬革)を、まずオリーブ色に染色。
吟スリしたのちオイル染料を染み込ませ、タイトコートしてからガラス膜を溶かして銀面に押し込み、低温アイロンで仕上げるというこだわりようです。

馬革ならではの不均一な荒々しさや独特のシボ感、薄いガラス膜を纏ったマットな艶感にも個性があり、このあたりもヴィンテージシューズっぽいニュアンスを醸し出しています。

さらに履き込んでいくと下地のオリーブカラーが表出してくるという点もユニーク。
茶芯のブーツのようにトゥやヒール周りを中心に退色してきて濃淡が出てくると、新品の状態とは違った貫禄が出てきそうです。

もちろん、ブラックの色味をキープしたいという方には染め直し等の対応をさせていただきますのでご心配なく。
色味の変化だけでなく、タンニンなめしの革ということもあってエイジングも期待できそうですし、このあたりはカルマンソロジーの他のモデルにはない魅力かと思います。

現代の既成靴ではなかなかお目にかかれないレベルの非常に細かい運針はこちらのモデルでも健在。
ヴィンテージシューズだとこれくらいのピッチのステッチワークも多いため、この部分もヴィンテージ感の演出に一役買っていると言えそうです。

特にトリプルステッチ部分は迫力満点、繊細さと力強さが同居しており、存在感抜群。
アッパーだけでなく、出し縫いのピッチも相変わらず細かくて品があります。

アウトソールはJR。

旧国鉄の話じゃないですよ、ドイツのタンナー、レンデンバッハのことです。
まぁ高級レザーソールの代名詞として靴愛好家の方々には有名ですが、とにかく死ぬほど頑丈で頼りになります。

さらに意匠として額縁仕上げを施すことにより、視覚的に小ぶりなトップリフトやフマズの絞りが強調され、ヴィンテージ/アンティークシューズ的ニュアンスが。
もちろん、オリジナルのトゥスチールも装着されています。

余談ですがこのレンデンバッハ、最近突然廃業しました。
同じドイツのタンナーがレシピごと買収したらしくブランドは継続するようですが、同クオリティが担保されるかどうかは不透明…
ということで、旧JRソール搭載の靴については今後はちょっとした貴重な存在としてフォーカスされたりするかもしれませんね。知らんけど。

トップリフトは同じくドイツのコンチネンタル。
タイヤメーカーとして有名ですが、比較的ソフトで減りにくいということでラバーヒールも人気があります。

もちろん他のドレスラインのモデルと同様、ヒールの積み上げ部分には特殊な低反発素材をサンドイッチするユニークな仕掛けが。
これにより衝撃吸収性が増し、硬い地面からの衝撃も拾いにくくなっています。

見ての通り、カジュアル使いしやすいボリューム感ながら、品格ある佇まい。
これにエイジングと色抜けによるニュアンスが加わっていくと考えるとたまりません。

靴紐はアンダーラップで通してありますが、シングルやパラレルにしてドレス寄りのニュアンスを加えたり、丸紐に交換したりとアレンジを加えるのも一興かと。

アンティークなニュアンスを含みつつも時代錯誤感がなく、カジュアルに落とし込みやすい絶妙な塩梅ですね。

ちなみに合わせたボトムスは20年選手のマークジェイコブスのワイドチノ。
履き込みすぎて随分くたびれていますが、むしろこれくらいこなれたものにドレスソックスとこのカーティスを合わせるのもオススメです。

ラフさをキリッと引き締めつつもキザにならず、綺麗めすぎずだらしなくない、頑張りすぎずキメすぎない、大人のカジュアルな装いとしてはこれくらいの硬軟のバランスがちょうど良いんじゃないかと。
もちろんトップスとの関係性もありますが。

ブラックのクロップドパンツ&ホワイトソックスでモードっぽくモノトーンでキメるのもカッコいいですし、以前のJournal記事でご紹介したニットパンツやスウェットパンツなど柔らかいアイテムと合わせても新鮮で良さそうです。
ズドンと太めの軍パンなんかと合わせるのもヒールのニュアンスが際立って面白そうですね。

全体的なボリュームやフォルム的にかなり合わせやすい印象ですし、グッドイヤーによる堅牢な作りですから、気を使うことなくガシガシ履き込んで、独特の経年変化を楽しんでいただきたい一足。

サイズのご相談などはお電話でもメールでもお気軽にどうぞ〜

Written By Kohei

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