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Aquellos Ojos Verdes BISHU / Shirts

Journal / Aquellos Ojos Verdes BISHU, Items

今シーズンよりお取り扱いさせて頂くことになりました新ブランドのご紹介です。

Aquellos Ojos Verdes BISHU(アケヨス・オホス・ヴェルデス・ビシュウ

世の中読みにくいブランド名はたくさんありますが、こちらは私のような島国日本の小市民にとって、「読めない、長い、聞いたことない」の三拍子が揃った超難問。
むしろ覚えにくいことが、逆に記憶に残るというパラドックス。

実はこの名前、世界的に超有名なラテンの名曲のタイトルからの引用だそうで…
その話を聞いてすぐに聴いてみましたが、なんか聴き覚えがあるような、無いような…

でも先日、映画「花様年華」を久しぶりに観返してたら、エンドロールの曲クレジットに載ってるじゃないですか、Aquellos Ojos Verdes。
大好きな映画で使われてることがわかって急に親近感UP。
早口言葉のように20回くらい連呼してたら一気に覚えられました、皆さんもぜひお試しあれ〜

ただまぁ長いので、以後アケヨスと略して説明していきます。

で、このアケヨス、世界屈指の毛織物の産地である尾州の生地に魅了された永田氏が、南イタリアの小さなカミチェリア(シャツ工房)で会得した経験をもとに、独自の美学を反映させたシャツ作りを行なっている新鋭ブランド。

これだけ聞くと、ナポリシャツに代表される、こってり手縫いで軟派な色気ムンムンなものを想像されるかもしれませんが、それだったらそもそもウチは取り扱いません。

空気を纏うようなリラックスしたムードと着心地を兼ね備えながら、決してルーズに陥ることなく、柔らかさの中にもどこか凛とした日本的な詫びやストイックさが感じられる、硬軟の絶妙なバランス。

日常的に使えるカジュアルシャツとしての親しみやすさと随所に散りばめられた手仕事の技が温かみを感じさせつつ、妥協を許さないストイックな姿勢と一切媚びることのない美意識の追求が切れ味鋭く、ため息ものの尾州生地の数々がこれらを彩ります。

これはなかなか他では見つけられないユニークな立ち位置ですね。
そして非常に私好み。
ということで、予算オーバーでしたが我慢しきれず買い付けました。

まぁ、シャツといえばウチには不動のエースSANS LIMITEがあるわけですから、積極的にシャツブランドを増やす必要はないんですけどね…
ただ、全然系統が違いますから被らないですし、むしろアケヨスはウチに欠けていたピースのひとつだったと、今回実際に商品が届いて納得できました。

モデル身長168cm体重55kg細身男性
【シャツ : Aquellos Ojos Verdes BISHU ¥36,300 / Size : 2】
【パンツ : Engineered Garments ¥31,900 / Size : XS】

と、ブランドに関する説明はこれくらいにして、そろそろ具体的に商品紹介を。

まず初めにご紹介するのは、ちょっと他ではお目にかかれないエレガントなスリーピングシャツ。

スリーピングシャツというのはいわゆるミリタリーの寝間着ですね。
こちら、ロシア軍のものがモチーフかと思いますが、生産効率重視で平面的な仕立ての軍支給品とは一線を画す、大人の日常着にふさわしい品格ある一着に。

とはいえ、堅苦しさは皆無。
リラックス感のあるフィッティングな上、高級なイタリアンドレスシャツ顔負けの立体的な仕立てにより、すこぶる快適な着心地です。

尾州で織られたこのレーヨンリネン生地の素晴らしさも特筆もの。
恐らくそれほど洋服に興味のない方でも、これはその辺のものとはワケが違う特別なものだと感じていただけるであろう、上等な質感。

シルクのようなつるりとした柔らかさの中に、リネンのコシとラフさがわずかに覗く、あまり触り慣れない格別の風合いにシビレます。

フロントボタンを外してあげれば、よりラフな表情に。
前立ての根元、白糸のグリカンがちょっとしたアクセントになっていますし、手仕事の温かみを感じさせます。

琵琶湖真珠の貝ボタンが慎ましやかに鎮座。
根巻きされていることもあってか、立体的で隠しきれない存在感があります。

袖口も雰囲気たっぷり。
フレンチアンティークのリネンドレスなどに見られるようなパフスリーブを意識したとのことで、クラシカルなムードが漂います。
とはいえギャザーのような襞はなく、イセ込みも極端ではないので、あくまでニュアンスとして男性にも違和感のない塩梅に。

ボタンをあえて留めないことで、

袖口をテーパードさせず、よりラフに着こなすのも男っぽくていいですね。

袖付けはスリーピングシャツだからと簡略化することなく、完全にナポリなどの南イタリア伝統のシャツに倣ったもの。
詳しくは後にご紹介するレギュラーカラーシャツにて解説します。

後身頃はヨークも切り替えもなくシンプル。
動きに合わせて現れる鈍いドレープがたまりません。

ディオールオムを思い起こさせるダーツ使い。
もちろん飾りではなく、美しく身体に沿わせるためのテクニックです。

そしてアケヨスの商品にはすべて手付けのガゼットが付属。
これについては補強などの機能性ははなく、完全に飾りです。

イタリアでは各カミチェリアの意匠を表すものとしてこういうガゼットが付けられるようになったそうで、それに倣っているとのこと。
白地に白文字なのでわかりにくいですが、アルファベットのB。
尾州のBです。

アケヨスのAじゃないんですね…尾州愛を感じます。
ま、Aだとアナトミカあたりに文句言われそうですし。

袖はラフにロールアップ、裾はタックインしてもらえれば女性の方でも問題なく着ていただけるかと。
タックインするとバランスが一変してこれまた良い雰囲気です。

【ジャケット : tilt The authentics ¥61,600 / Size : 1】

一枚での着用はもちろん、インナーとしても優秀なのがこのシャツの良いところ。
襟がないのでかしこまった感じにならず、ラフな印象も演出できます。

ヘンリーネックのカットソーのような感覚で合わせやすいんですよ。
下にハイネックやタートルのカットソーを入れてあげれば、冬もOK。

暖かくなってきたら肌着の上から一枚で、素肌に直接着て袖まくりしてあげれば真夏もイケます。

【パーカー : FilMelange ¥28,600 / Size : 3】
【パンツ : Westoveralls ¥31,900 / Size : S-TYPE】

スウェットパーカーなど、ソフトでカジュアルなアイテムと合わせていただくのもいいですね。
インナーから上品さを演出できて、幼稚な印象を払拭するのに一役買ってくれます。

【コート : Yarmo ¥30,800 / Size : 40】

触れてませんでしたが、独特なこの色味も秀逸。
うっすらオリーブグリーンがかっているような、コヨーテブラウンのような、表現が難しい絶妙なカラーリング。

落ち着いたトーンなので合わせも難しくなく、グレーなどの中間色同士で柔らかいトーンでまとめてもいいですし、このコートみたいにパキッと発色の良いものとぶつけてあげてもお互いが引き立って素敵だと思います。

モデル身長168cm体重55kg細身男性
【シャツ : Aquellos Ojos Verdes BISHU ¥36,300 / Size : 2】

ちなみにこちらのスリーピングシャツは2色展開でホワイトも有り。

実は色によって混率が異なり、白はラミーが5%入った三者混です。

ラミーもリネンも麻ではありますが、比較的繊維が太くてコシが強いのがラミーの特徴。
そのおかげで、こちらはBeigeよりもコシがあってザラッとした風合いです。

シルクのようなツルっと感は鳴りをひそめ、シワ感も強まってよりラフな印象に。
白だとこれくらいの方がこなれた感じで使いやすいかと思います。

もちろん、その辺の安物生地とは一線を画すオーラびんびん物語。
Beigeに比べれば硬さがあるものの、どこかしっとりしていて肌当たりは優しく、こちらも気持ちいい肌当たりです。

袖はこちらも後付けのセットイン。
寝間着にはありえない仕様ですね。
繰り返しになりますが、この袖付けについては後ほど詳しくご紹介します。

ふんわりとした袖口の美しさはホワイトでも健在。
極細のカフに施されたステッチワークも繊細で、いい仕事してます。

ガゼットはボディと同色なので、よりさりげなく。

もちろんタックインしてもサマになります。

【ジャケット : Engineered Garments ¥41,800 / Size : XS】

ジャケットスタイルをドレスダウンさせるのにももってこい。
白かベージュか、どちらも捨てがたく、悩みどころです。

モデル身長168cm体重55kg細身男性
【シャツ : Aquellos Ojos Verdes BISHU ¥38,500 / Size : 2】

そして、同生地を使用した襟付きシャツも入荷しています。
こちらはBeigeのみのオーダー。

どうです?この空気を含んだような柔らかで洒脱な表情。
こういうスタンダードなシャツ型の方が、アケヨスの標榜するスタイルを理解しやすいかもしれません。

ただのオーバーサイズでもなく、パターンや縫製、生地のコンビネーションから醸し出されるリラックス感とエレガンス。
無機質でノッペリとした量産品とは趣の異なる、どこか手垢の残る家内制手工業的なこじんまりとした雰囲気とでもいいましょうか。
勝手に、イタリアのおばあちゃんがチクチクと針で縫っている姿を想像しちゃいます。

緩やかにカーブを描くバックヨークにはイセがたっぷり。
中央には大きくギャザーが入っており、後ろ姿にも独特な表情があります。

袖付け部分にもこだわり満載。
袖ぐりの縫い代は身頃側に倒してステッチで押さえるわけですが、この幅が肩の方から脇下に向かっていくにつれて細くなっているのがお分かりいただけるでしょうか。

工場泣かせの大変な仕様ですが、見た目が美しくなるだけでなく、脇下のごろつきを押さえられることや、肩の乗る部分で縫い代の段差を極力感じさせないようにするメリットもあるかと思われます。

さらに脇下、身頃と袖の巻き縫い位置がズレているのが見て取れますが、これは前身頃と後身頃を縫い終わったのち、後から袖を付けたことの証拠です。

これについてはあまり意識されてない方が多いとは思いますが、基本的に量産シャツは生産効率を重視して裾から袖口までを一気に縫い合わせてあるものがほとんど。
でも、人体の構造として「腕は曲がって捻れているもの」ですから、身頃に対して袖が斜めに付くことで、自然に腕を前に振りやすくなります。

一般的なシャツだと身頃側の袖ぐり寸法と袖側の袖山寸法が同じ、下手したら袖山の方がちょっと短いケースもあるようですが、こちらはテーラードジャケットの袖付けのように袖山の分量を多く取ってイセ込んであります。
アームホールなど他の要素との兼ね合いではあるものの、可動域が広がって動きやすくなる利点が。
実用性だけでなく、細かくギャザーの入った見た目も雰囲気があって良いですね。

袖の開きはオリジナルの剣ボロ仕様。
スリット側に押さえのステッチが入らないため、一般的な剣ボロよりも丸みのある柔らかい印象に。
グリカンでの補強も味があります。

さらにカフスの上側はカーブした作りになっていて、ボタンを留めると先細りの円錐形になるよう設計されているという細かいこだわりも。
シルエットにゆとりがあっても先細りでカフスがしっかりフィットしていると、全体として引き締まって見えるだろうという配慮だそうです。

理想のムードや着心地を実現するためにテクニックを抜き差しする、当たり前のことではありますが、そういう視点の欠けたディテール至上主義のシャツが巷には蔓延ってますからね。
真摯でストイックな姿勢に好感が持てます。

台襟のステッチも段差があったりと一筋縄ではいかない様子。
これの理由は聞きそびれましたが、芯地と関係しているのかな?
今度確認しておきます。

あ、ちなみにアケヨスのシャツは基本的にすべてフラシ芯になっています。
まぁ、イギリス系のシャツみたいにガッチガチの接着芯を使っちゃったら、この柔らかな雰囲気台無しですもんね。

そして、多くの皆さんが一番最初に着目してくださるのがボタンの美しさ。
確かに普通のシェルボタンとも趣が異なります。

これ、琵琶湖産の真珠貝から作られたボタンなんです。
しかも、30年以上加工されずに保管されていたヴィンテージものを加工しています。

混じり気のある独特な色味が素晴らしく、一点一点表情が大きく異るというのも特徴的。
飴色のようなものもあれば、虹色のはっきりしたものや、白に近いものなどとにかく様々。

不揃いなトーンのボタンが並ぶことで、これまたヴィンテージ感といいますか、このブランドらしい独特なムードを醸し出すのに一役買っている気がします。

こちらのレギュラーカラーシャツタイプにも裾には手付けのガゼットが付属。
ビシュウのB。

試着すると気づいて下さる方もいらっしゃるのですがこのシャツ、身頃がゆったりしている割にはボワッと横に広がりにくく、案外収まりがいいんですよ。

実はこれにも理由がありまして、前身頃よりも後身頃の分量を多めにとることで、身体の左右だけでなく前後にも余裕を持たせたパターンを採用しているからなんです。
もちろんこれは単純に身頃の分量だけを変えればいいわけではなく、他の要素との兼ね合いで成り立っているのですが、こういったシルエットの部分からも立体的な作りの良さを実感できます。

ということで以上。
長々とご説明にお付き合いいただきありがとうございました。

まぁ、こういう細かい説明がなくても、着て触っていただくだけで十分に素晴らしさを実感いただける、高いポテンシャルを秘めた服が揃っています。
問題はブランド名が覚えにくいことだけですね。

次回はアウターをご紹介します。

Aquellos Ojos Verdes BISHUの商品はこちらから
https://dresswell.jp/onlineshop/item/brand/aquellos-ojos-verdes-bishu

Written By Kohei

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