2月18日(土)から2月20日(月)まで開催させていただきます、当店恒例のトランクショー。
イタリアンクラフトマンシップの神髄をご堪能いただける、特別な3日間。
前回のJournal記事に続き、とっておきのイベント商品をご紹介させていただきます。
さて、これは何でしょう?
何やら個性豊かな革が綺麗にカッティングされて並んでいますが。
実はこれ、バッグの革サンプルなんです。
そう、前回のイベント時にも大好評いただきました、Mastro Pierini(マストロピエリーニ)のオーダーバッグ用です。
今回はとんでもなくレアな特殊レザーをこのイベントのためだけにご用意。
しかもイメージしやすいように、小さな革の端切れではなく、バッグの半身にカッティングしたものを展示させていただきます。
この革、実はあのコードバン。
いやいや、どこがだよ、あの独特な光沢感が全くないじゃない、とすかさずツッコミを入れたアナタ、実はイタリアではコードバンと呼ばれるものが2種類存在します。
まず一つ目は皆さんご存じ、オールデンでもお馴染みのシェルコードバン。
馬のお尻の革の銀面と床面の中間のコラーゲン層のみを取り出し、直立する繊維を寝かしつけることであの唯一無二の光沢感を生みだしたもの。
そして二つ目がクラッタコードバン。
簡単に言うと、先のシェルコードバンが使用しない、銀面側の革のことです。
で、今回ご用意したのは後者。
ということでコードバンと言えどもシェルコードバンのような質感ではないという訳なんです。
しかしこの革、シェルコードバンに勝るとも劣らない魅力を秘めています。
というのも、そもそも一般的に革の主役は最も繊維が細かく密に絡み合う銀面側であり、さらにそれが馬のお尻部分となれば、繊維はさらに緻密ですから、革自体のクオリティは非常に高いものになります。
そして、シェルコードバンのように厳密にコードバン層のみを使用する必要がないため、臀部から脚部あたりまでを含めることでより大きなサイズを使用することができます。
また、コードバン層を含む部分と含まない部分が混在することでコントラストが生まれ、質感やカラーリングもランダムで独自性のあるユニークな表情に。
しかもこの革、クラッタコードバンの中でもさらに特別なんです。
GUIDIから独立したとあるタンナーが、なんと一枚一枚手でタンニング&カラーリングした完全なる一点モノ。
ホーウィンのシェルコードバンの原皮はイタリアでして、これはそのホーウィン用にコードバン層を取り出したあとに余った銀面側の革になります。
そもそもクラッタコードバンはタンニングも染めも非常に難しいのですが、その中でも特に厄介な一部のレザーをなんとか販売しようとハンドタンニングと手染めを施した希少なもの。
さらにこちらはこのタンナーに直接足を運び、現地において対面でしか購入できないということで、日本はおろか、イタリアでも一般的に流通することはありません。
そもそも生産が極少量ですからね。
しかもあまりにも手が掛かるためか、今回でこの革の生産は辞めるとのこと。
あちゃー…
まさに幻の革と言えます。
タンナーにあった在庫の中から、T氏とビデオ通話を行いながら私が選定したものがメインですが、T氏が個人的にコレクションとして買い溜めたものも今回一部放出していただきますので、種類は結構豊富かと。
表を使うか、裏を使うかという選択肢もあるので、バリエーションはさらに広がります。
表裏だけでも相当雰囲気が異なる上に、一枚一枚全く表情が異なるため、これは良い意味で相当悩まされますね。
前回同様、基本的に大きめのフルオープンバッグと小さめのミニショルダーバッグの2モデル展開。
なお、完成品のサンプルも両モデルともご用意しています。
それでは個別に見てみましょう。
まずはミニショルダーバッグサイズの革です。
こちらはまるで抽象画のような、はたまた銀河を思わせるような幻想的な柄とカラーリングの個体。
向かって右下の薄茶色の部分が恐らくコードバン層で、特に色が入っていかないため、このような強い色ムラが出ています。
表面はヌバックのような質感。
こちらは淡いパープルに、うっすら入るブラウンのムラと横一直線に入るやや濃いめのラインがアクセントになった個体。
スエードっぽい質感です。
こちらはダークでゴスっぽい雰囲気の個体。
そしてこちらは、何と言っても偶然の縦ラインが絶妙なアクセントになった個体。
こちらは銀面側を表にした鮮やかなパープルの個体。
強い光沢感の中にムラや傷が多数あり、単色っぽく見えながらも独特な表情をしています。
ちなみに、既存革でももちろんオーダー可能。
こちらは前回イベントで初登場したAvancorpo(馬の首から肩にかけての革)です。
この革、通常は加工した床面側を使用するのですが、我々としてはあえてその裏側、銀面側の使用を提案しています。
本来、この面は使用しない想定なので、傷やムラも多いですが、それがこの独特なコヨーテブラウンカラーと相まって良い雰囲気なんですよね。
ちなみに、本来この革が想定している使い方、床面側を使用してオーダーいただくことも可能です。
スエード面ながらも起毛感を無くし、ちらちらとラメっぽく輝く加工が施されたもの。
これはこれでお好きな方もいらっしゃるかと。
お次は大きめのフルオープンバッグサイズの革です。
こちらも負けず劣らず、素晴らしい表情のものが揃っています。
これは向かって左下部分がコードバン層ですね。
激しい偶然の色ムラが芸術的な雰囲気。
裏返しにしたものがこちら。
こちらはブラックワントーンながら、向かって右下のコードバン層のみ質感が異なり、独特の表情が出ています。
こちらはブラウンがかったオリーブのようなニュアンスカラー。
シェルコードバンのようなツルッとした光沢感が特徴です。
これはその裏側。
コードバン層が多く含まれた部位のようで、表の強い光沢感にも納得です。
こちらはさらにグリーンっぽさが強い個体。
こちらも光沢感強めのツルッとした質感です。
その裏側。
こういうヌメ革っぽいトーンの床面側で、エイジングによる色や質感の変化を楽しむのも良さそうです。
あ、今回のこのスペシャルレザー、すべて100%ベジタブルタンニングレザーですので、経年変化も存分にお楽しみいただけます。
そしてこちらは、まるで青磁器のようなブルーグリーンの美しいトーンに惚れ惚れ。
その裏側はベージュがかった色ムラがこちらも美しく、どちらの面も甲乙つけがたし…
こちらはどこか中国絵画を思わせるようなトーンと柄が目を引きます。
裏側はダークブラウンのワイルドな表情。
スムースレザー部分とヌバック部分が入り混じる個性的な質感です。
最後はツルッと光沢感強めのスムースタッチながら、何とも言えない個性的な柄がびっしり刻まれた激レア個体。
色は赤みのあるダークブラウンで上品さもあるので、アクが強すぎず、案外使いやすそうです。
より質感が分かりやすいと思いますので、アップの画像もご覧下さい。
肌触りも千差万別ですので、ぜひ店頭にてご確認を。
もちろん内張りの革は通常モデルと同じく、46色もの恐ろしくキメの細かいスエードレザーからお選びいただけます。
この特殊コードバン、もう調達できない革、というかそもそも一枚一枚が完全なオンリーワン個体ですので、同じものには二度と出会えません。
ピンと来るものがあれば、迷わずゴーでお願いします。
そして最後にもうひとつの大きなトピックをご紹介。
このMastro Pieriniのオーダーバッグ、待望の新サイズが登場します。
現在は「大きめで何でも入るフルオープンバッグ」と「かなり小ぶりで可愛らしいミニショルダーバッグ」の2サイズ展開ですが、ニューモデルはその二つの中間サイズ。
というのも、さすがに女性の方にはフルオープンバッグは普段使いには大きすぎる、とのご意見を多数頂戴していました。
お仕事などでも使われる場合はいいんですけどね。
ということでニューモデルは、女性の方が普段使いでも大きすぎず、それでいて十分な収納力のあるフレキシブルなサイズ感に。
実寸だと幅32cm x 高さ24cm x 奥行き12cm程度、いわゆるボリード31に近いサイズ感になります。
デザインとしてはミニショルダーバッグの拡大版ということで、取り外し可能なショルダーストラップや防犯性とデザイン性を兼ね備えたジップトップのロック機構などのディテールを踏襲。
もちろん、このオーダーバッグシリーズの特徴である、カスタムの自由度はこの新モデルでも健在。
ハンドルを長くしたり、底鋲を追加したり、逆にショルダーストラップやロック機構を無くす、といったことも可能です。
表の革は4色から、内張りの革は46色からお選びいただける点も変わらず。
こちらもイベント時にはサンプルをご用意していますので、実際に手に取ってご確認いただけます。
前回、サイズの問題で断念された方はぜひこの機会にご検討下さい〜