店頭でのトランクショー開催は終了しましたが、オンラインショップ開催用に商品説明を続けていきます〜
ORCHESTRA(オルケストラ)からの新作、3足目はウイングチップダービー。
実はこれ、木型自体は定番人気のGINO RAIMONDIのUチップダービーと同じものを採用した兄弟モデル。
ですが、アッパーとアウトソールの革がスペシャルなんです。
と、革をご紹介する前に、まずは仕様やルックスのご説明から。
ダブルソール&ストームウェルトの重厚なルックスは、英国靴やアメリカ靴を彷彿とさせるもの。
ですがこれ、ハンドソーンウェルテッド製法になります。
デザイン的にはフルブローグ、その中でもいわゆるロングウイングチップ。
まさにアメリカントラッドを象徴するような形ですが、やはりイタリア工房らしい味付けで、単純な真似事とは一線を隠す秀逸なバランスに。
360度ウェルト仕様でヒール周りもコバが張り出しているため、どっしりとしていてボリューミー。
これがストームウェルト。
オールデンとかトリッカーズなんかでよく見かけるやつです。
L字にウェルトが配されているため、ここが壁となってアッパーとウェルトの間から水が侵入するのを防いでくれて、防水性に優れるのが特徴。
あと、見た目に無骨な感じが出るというのも大きいですね。
で、ダブルソール。
要はアウトソールが2重になっているので、より厚みが出て堅牢な雰囲気に。
その分、屈曲性は損なわれるため、グッドイヤーでダブルソールだと新品の状態は返りがなくてまるで木の板を底に敷いているような感覚です。
トリッカーズのカントリーブーツなんかが分かりやすいですね。
最初は全然曲がりませんから。
そこで登場するのが、この特別なアウトソール素材。
こちら、Pietro Presot(ピエトロプレソット)という、イタリアタンナーの革を使用。
これが抜群の品質なんです。
そもそもこのウイングチップ、ハンドソーンウェルテッド製法ということで、無骨な見た目に反して返りが良いという特徴があります。
それなのに、カッチカチの底材を付けてしまうとその良さを殺してしまうことになりかねません。
日本だと、JR(旧レンデンバッハ)ソールが最高峰、みたいな触れ込みが定説ですが、イタリアのビスポーク界隈では基本的に採用されないというのはそういうこと。
せっかくのハンドソーンの強みである「返りの良さ・つま先摩耗の少なさ」が台無しになってしまうからです。
対してこのピエトロプレソットのベジタブルタンニングレザーは、しっかりと密にタンニングされていながらも硬さがキツくなく、コシがあって柔軟性も備えているのが特徴。
もちろん、クニャリと曲がるような柔らかさではなく、あくまでレンデンバッハやベイカーなどのオークバーク系のような極端な硬さではないという感じです。
耐久性についても折り紙付きで、イタリア誂え靴界ではこのPietro PresotとPio Dusiniがアウトソールでは二大巨頭とのこと。
この二つは地域によって住み分けがされているようで、このウイングチップの製造工房がある地域においては、誂え靴の場合、Pietro Presotが採用されるのが常だそうです。
アウトソールの革なんて履いてるときは見えないし、そんなにこだわっても仕方ないという方もいらっしゃるかもしれませんが、履き心地や耐久性に直結する大事な部分。
ということで最高なものが選択されています。
ただ、かなり高級な革なうえに、ダブルソールということで2枚重ねて使用しているため、そのコストはかなりのもの。
そこだけが玉にキズですが、プライスはなんとか頑張らせていただきました。
ちなみに、このPietro Presotダブルソール&ストームウェルト仕様はUチップでも採用可能。
つまりアッパーのデザインは2種類からお選びいただけます。
なお、ウイングチップのサンプルサイズがでかいので、2つを並べるとやたらイカつく見えますが、木型はどちらも同じです。
そしてここからが本当のスペシャル。
今回、T氏はこのダブルソールモデルのためにとんでもない希少革を用意してくれました。
そう、実はサンプルシューズのアッパーの革とは違う、スペシャルレザーでオーダー可能なんです。
先程から散々お見せしているオーダーサンプルシューズは、あくまでデザインや仕様の確認用であり、アッパーには凡庸クオリティのレザーが採用されています。
今回お選びいただけるのは、それとは比べ物にならない別次元のもの。
それがコレ。
旧イルチア、当時においても名実共に世界最高峰品質のボックスカーフ、20年前のデッドストックになります。
恐ろしいほどのキメの細かさと美しさ、まさに極上品。
現代では禁止されている、革を採るために牛を育てていた時代のもの、しかもその時代のMAXクオリティですから、現行のモノなど足元にも及びません。
実際に見比べていただくために、現行においての最高品質と謳われるカーフレザーのスワッチを持参していたT氏。
たくさんのお客さまに比較いただきましたが、皆さん声を揃えて「全く違う」「これはヤバい」を連発されていました。
今回入手できたのは、ライトブラウン・ネイビー・バーガンディの計3色。
その中でもバーガンディは突出したクオリティを誇っており、すでに完売しています。
もちろん、他の2色が劣っているということではなく、バーガンディだけが飛び抜けていたという印象。
T氏いわく、タンナーによって色の得意不得意があるらしく、イタリアビスポーク界隈では同じカーフでも色によってタンナーを変えるのだそう。
例えばデュプイの場合、ブラウンの評価は比較的高いものの、黒はあまり良くないということで、余程のことがない限り選択肢に入らないそうです。
(そもそもイタリアにはデュプイより優れた小規模タンナーが今でもかなりあるらしく、わざわざチョイスする必要もないらしいですが)
ちなみに、2/28時点での在庫状況は
ネイビー 約2足分
ライトブラウン 約5足分
の革が残っています。
どちらも少量ですので、ピンときた方はどうぞお急ぎ下さい〜
今回のモデルはGINO RAIMONDIのUチップなどの派生形ともいえますが、あえてORCHESTRA名義でのリリース。
このあたりからもT氏の熱の入れようが感じ取れます。
なお、この木型では初めてカーフレザーを採用していますので、ベビーカーフアッパーに比べればやや硬めの肌当たりに。
ということで、GINO RAIMONDIのUチップなどをパンパンのフィッティングで履かれている場合は、サイズアップが必要なケースも考えられます。
サイズについてもお気軽にお問合せ下さい〜
また、アッパーをガルダベビーカーフ&ダブルソール仕様でもオーダーいただけます。
この場合はブラックとネイビーの2色より選択可能。
近日中にOnline Shop上でご予約いただけるよう準備中ですので、遠方の皆さまは今しばらくお待ち下さいませ〜
まだ続きます…