Dresswell

Cadice Baby Calf Chelsea Boots

Journal / Items, Orchestra, イタリア工房製品

ORCHESTRA(オルケストラ)からの新作、4足目はチェルシーブーツ。
いわゆるサイドゴアブーツです。

もちろん、そんじょそこらのモノとはワケが違います。

こちらも他の新作同様、猛烈に語れる要素満載なのですが、単純にファッションとして取り入れやすいシンプルなデザインとボリューム感が絶妙。
シュッとしすぎていないのでキザでキメすぎた感じになりませんし、かといって野暮ったいわけでもなく、合わせるボトムスの太さを選びません。

もちろん、靴ベラいらずで着脱が簡単、というサイドゴア最大の利点も健在。
あと、足首がホールドされる分、短靴ほどシビアなサイズ選びをしなくても良いということで革靴初心者向きでもあります。

まぁ、ホントにこれが楽チンでして、私も20代前半の数年はサイドゴアブーツしか履かないという極端な時期がありました。
革靴は着脱が面倒だから履きたくない、という方には特にうってつけです。

それだけでなく、こちらのモデルは特別な革や構造を採用することで、履き始めからストレスフリーで経年変化も楽しめる、他とは一線を画す一足に仕上がっています。

まず、アッパーに採用されているのがスペシャルレザー、T氏が新たに見つけてきたデッドストックのベビーカーフ。
その名もCadice(カディチェ)。

インカス、ガルダ、と今や生産することができない極上クオリティのベビーカーフを発掘してきたT氏に言わせると、今回のカディチェはガルダに匹敵するクオリティながら、それとは異なる特徴を備えたスペシャルレザーとのこと。

その違いはベジタブルタンニングの比率。
ガルダはクロムなめし70%・ベジタブルタンニンなめし30%という比率でしたが、今回のカディチェはハーフ&ハーフ。
つまり半分の50%がベジタンの混合なめしなんです。

これが意味するところはエイジングの強さ。
より経年変化を楽しむことができる革ということです。

そもそもベジタンのベビーカーフというもの自体がレアだと思うのですが、革を採るために牛を育てていた時代の超良質な原皮を用いたハーフ&ハーフのコンビなめしというのは本当に希少。
イマドキのペラペラなベビーカーフよりも厚みがあってしっかりしているというのも特徴です。

で、このカディチェレザー、このチェルシーブーツ型には最適。
シューレースや切り替えなども入らない、極めてプレーンなアッパーデザインだからこそ、エイジング具合がより顕著に感じられますし、その味わいやベビーカーフ特有のシワの入り方は唯一無二のデザインとして効いてきます。
ガンガンにシワが刻まれた姿を想像するだけでヨダレもの。

しかもベビーカーフは薄くて柔らかく、それを活かした芯材としなやかなラムレザーのライニングのおかげで、アッパーはまるでレディースシューズを思わせるようなソフトタッチに。
このため、ピタッと足に沿ったフィッティングでも痛くなることがなく、シワも美しく入ります。

ただ、いくらアッパーが柔らかくて肌当たりが良くても、底付けが硬くてはその良さを殺してしまい、意味がありません。
ということで、こちらはグッドイヤーではなく、ハンドソーンウェルテッド製法を採用。

もちろん手縫いとなるとコストは跳ね上がりますが、履き始めから返りが良く、アッパーの柔らかさを打ち消すことのない仕上がりに。
さらにすくい縫いはチャン糸で行うなど、今や量産のハンドソーン靴ではほとんど行われない、見えない部分にまで手間暇をかけたこだわりの作り込みです。

なお、木型はGINO RAIMONDIのUチップなどと同じものを採用。
たしかガットのビスポーク木型がベースだったと記憶していますが、もちろんツイステッドラストで甲部分のフィット感が高く、よくある単純なストレート木型よりも足への追従性が高いというのも特徴です。

GINO RAIMONDI名義でも一度サイドゴアブーツがリリースされたことがありましたが、それよりも甲周りに捻れを加え、ゴム部分を少し動きのあるデザインに改良、さらにほんの少しだけブーツの高さを低くすることで、単調にならないようデザインに動きを持たせています。

ブーツの高さをわずかに低く抑えたのは、より脱着をしやすくなる狙いもあります。

コバの処理にも特徴が。
先にご紹介したイントレチャートシューズと同じく、コバとダシ縫いを隠す特殊製法を特殊機械にて再現しています。

これにより、ウェルテッド製法ながらもコバの張り出しがない、スマートですっきりとしたルックスを実現。
とはいえ、元々のフォルムがそれほど華奢ではないため、変に細身すぎたり頼りない感じはなく、安定感がありながらもエレガンスを匂わせるような美しいバランスに。

マッケイ製法でも見た目だけなら同じようにできるかと思いますが、より耐久性に優れ、分厚い中底により地面からの突き上げもゆるやかという、ハンドソーンウェルテッド製法の優位性が活かされた作りになっています。

おそらく世界的に見ても、機械のダシ縫いでこれに酷似した製法を採用しているのはORCHESTRAだけ。
100年前のアンティークダシ縫い機を齢90歳のエンジニアに調整&改造してもらった賜物です。

こちらのモデルにも、デフォルトでビブラム製のハーフラバーが付属。

カラーは潔くNavy1色のみ。

というか、T氏の長年のコネクションの賜物としてたまたま見つけだすことができた超希少なデッドストックレザーですので、Navyしか出てこなかったというのが正解でしょうか。
ブラックに近いダークネイビーですし、クリームの吸い込みが強いため、ブラックのクリームでお手入れいただければ限りなく黒に近づけることも可能かと思います。

超高品質なベジタン50%のビンテージベビーカーフ + 量産には向かないビスポーク由来の複雑な木型 + ハンドソーンウェルト製法 + 特殊な足周り処理で、このプライス設定はやはり異常。
今時の相場であれば、15万出しても買えないクオリティかと思います。

これぞ、工房とのダイレクト取引、かつT氏のハンドリングによる最適化された生産管理の賜物。
あらためてこんなプライスでご紹介できることを光栄に思います。

というか、ベジタン含有のベビーカーフでハンドソーンです!と簡単に説明していますが、実はこれってもの凄いこと。
そもそもこんなベジタンを含むベビーカーフは本来誂え靴工房が使うもので、量産既成靴で採用するものではありません。

というのも、革が薄くてすくい縫い時に避けてしまう可能性がありますし、クロム100%のものと同じように吊り込み時に革を蒸してしまうと色落ちなどの問題がでてきてしまうため、手吊り込みでなじませてから機械で吊り込むといった余計な手間と神経を使うことになり、全く量産に向いていないからです。

実際、工房側でも何度も作り直しをした経緯があり、相当手のかかる製品とのこと。
正直、ベビーカーフでウェルテッド製法の靴は作りたくないようです…

工房側とT氏があまりの面倒臭さと大変さに白旗を揚げる前に…
お早めのオーダーがオススメです笑

Written By Kohei

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