均整の取れたその佇まいに惚れ惚れする、魅惑のロングウイングチップが入荷しました。

未だ冷めやらないオールデン人気も手伝ってか、今や米国ブランド以外でもリリースされまくっているロングウイングチップデザインですが、これほどの力強さと上品さを兼ね備えたものはまず見かけません。
パーフォレーションの大きさや配置のバランスもさることながら、ビンテージやビスポークでしかお目にかかれないレベルの非常に細かいステッチ、羽根の型押しレザー切り替えなど、細部に渡るこだわりの数々が相まって、抑揚の効いた秀逸なバランスに仕上がっています。

本底はウェストンの590を彷彿とさせる、重厚なトリプルソール仕様。
それでも前身頃のみダブルウェルトにしているため、トリプルソールの割にはボリュームは控えめ。

プレーントゥダービーやモンクストラップに採用されている1504ラストよりもトゥはわずかにシャープで薄い設計の1505ラストが採用されていることもあって、思いのほかスマートで美しい佇まいです。
デザイナーの金子さんのこだわりが詰まった、曲線を描きながらも並行に流れる2本のウィングラインも効いています。

この方向性を決定づけるために、アッパーにはあえてツルッと無機質な表情を見せる銀スリキップレザーを採用。
いたずらに有名タンナーの革で高級感をアピールするのではなく、思慮深く適材適所を徹底するカルマンソロジーらしい選択です。

極細ステッチに耐えられるだけの上質さを備えたこの革は、職人が丁寧にペーパーがけをし、ワックスと手アイロンによってきめ細かな表面に仕上げています。
履き込んでいくことでワックスが浸透し、馴染んでくるのも特徴。

また、S字に捻れた木型はカルマンソロジーが提唱するローリング歩行を可能にし、量産のために単純化された直線的な木型の靴とは一線を画すフィッティングを実現。
捻れているにも関わらず、真上から見ると破綻の無い美しいフォルムになるよう細かく計算されています。

アグレットがタッセル飾りになっているのもクラシカルで良いアクセントに。
デニムやチノとの王道的なカジュアルコーディネートはもちろん、無骨すぎないのでビジネスカジュアルなどでも多岐にわたって活躍してくれそうです。

とにかく頑丈な作りな上、アウトソールは高い耐久性がありながらも厚みが控えめのビブラム269が採用されているため、気兼ねなくガンガン普段使いいただける完成度の高い一足です。