ご挨拶が死ぬほど遅れましたが、皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
語りたいことは山ほどありますが、今回は華麗にスルーして新年一発目の商品紹介です。
今年もなんとかリリースに漕ぎ着けることができました、
「当店完全特注 BATONER(バトナー) 限界度詰め大判カシミアストール」。
ニット生産時に出てくる残り糸を特別にご提供いただくことで糸代を抑え、とんでもない量の上質なカシミアを使用しながらも、その品質からは考えられないほどのロープライスを実現した、この冬の最後の目玉商品です。
全国のバトナー取扱店さんはもちろん、直営店にも置いていない、世界で唯一当店のみのエクスクルーシブモデル。
ウチ以外、どこにも売ってませんよ〜
最高級のアラシャンカシミア糸を限界まで目を詰めて編み込み、縮絨と呼ばれる仕上げ工程も最低限に留めることで、肉厚かつ適度な重量感があり保温性抜群、カシミアの繊細なイメージを覆す耐久性も備えており、エイジングも楽しめるという、他にはないレベルの一枚に。
その辺のブランドが普通に糸を仕入れて工場に発注し、同じようなものを作ろうとしたら、どえらい販売価格になっちゃいますからね。
作りたくても作れないというのが本音だと思います。
これぞ残糸利用 x ファクトリーブランドの成せる技。
そしてこの特注ストール、お買い上げいただいた皆様からの評判がすこぶる良いというのも特徴です。
そりゃ、この飛び抜けたクオリティでこの価格であれば、満足度が高いのも当然といえば当然ですが…
我々夫婦も今や5,6枚を所有しており、色違いで毎日使い倒していますが一向にへたる気配なし。
むしろ最初の硬めでガサっとした風合いから徐々にフワッと感が出てきて柔らかくなり、極上のタッチに変化していくので、年を経るごとに満足度が高くなっていく感じですね。
色違いで何枚でも欲しくなっちゃいます。
ただし、残糸企画という性質上、毎年数量限定。
しかもどんな色の糸がどれくらい余っているのかというのは完全に出たとこ勝負なので、色によっては1枚しか作れなかったりといったこともザラ。
もうかれこれこの企画は4,5年やっていますが、未だにタイミング悪く、毎年買い逃している常連さんもいらっしゃいます。
今年も各色ごとの数量は少なめで、すでに売り切れの色もあったりしますのでくれぐれもお早めにご検討下さい!
しかもですよ、今年のモデルは歴代1位と言える素晴らしい完成度!
もう最高です。
過去には、なかなか思い描く質感や風合いにならずに何度も何度もサンプル製作を繰り返した年もありましたが、今年はサンプル一発目で即合格!
毎年ジャッジの厳しい、企画の立役者であるバトナー敏腕営業Iさんも太鼓判を押す抜群の仕上がり。
私も同意見で、この目の詰まり具合、質感は明らかに過去最高品質かと。
これは素晴らしく良いものが出来たと、二人で納得し合いました。
ま、私はただ意見を言って、上がってきたものをジャッジするだけの楽な仕事なんですけどね〜
今回もIさんには色々と試行錯誤の上でご尽力いただき、感謝してもしきれません。
Iさん、そして奥山メリヤスの皆さま、毎年本当にありがとうございます。
ただ、今回はホントに大変だったんです…
なにが?
ってプライスですよ、プライス!
ぶっちゃけ暴露しちゃいますと、今回のコレ、値上げはしてますけどウチの利幅は相当下がっています…
というか下げました…
いや、去年より1万円も上げてるのにウソやん!と即座にツッコミを入れたくなると思いますが、仕入れ値から考えると本来はさらに1万円アップ、つまり余裕で6万円以上の値段をつけないと割に合わないところを、ウチが利益を削ってまで税込55,000円に抑えたというのが実情です…
正直ツラい…
なんでそんなことになるんじゃい?と思われるかもしれませんが、今やコンビニのカップラーメンが軒並み300円に近づいているこのご時世。
当然カシミアの市場価格も爆上がりしています。
また、糸づくりにはガソリンや石油などの燃料がたくさん必要となるため、原油高が大きく響いてきますし、昨今の円安も痛手です。
今回のカシミア糸の場合、一昨年と昨年では価格が全く異なり、その差額はハイレベルな高級ウール糸の仕入価格と同じくらい、という異常値。
まぁ、原材料高や為替の痛手はバトナーに限らずどこも食らっちゃってますのである程度織り込み済みでしたが、今回は糸のクオリティをさらに上げたことで価格がさらに爆上がりしてしまいました…
昨年のものは26番手の三子糸(3本の糸を撚り合わせて1本の糸にしたもの)、今年のものはそれよりも細い40番手の双糸(2本の糸を撚り合わせて1本の糸にしたもの)を使用。
同じアラシャンカシミアでも両者には圧倒的な価格差があります。
今年の方が細い糸なのですが、より細い紡毛糸を紡ぐためには繊維の長さと細さを追求した選りすぐりのものを使う必要があるのだそう。
つまり、40番手の紡毛糸を紡ぐためには、26番手の時よりもさらにカシミア原料を厳選する必要があり、手間や技術、希少性が高まるため、必然的に高価になるという訳です。
もちろん、単純に糸が細いから、高価だから良いもの出来上がるという話ではありません。
ですがそこはニットを知り尽くしたバトナー。
仕上がりのイメージから逆算し、その製品に適した番手・ゲージ・度目などを見極め、自社改造の編み機で限界を超えた密度で編み立てるなどして理想の質感・風合いに近づけていきます。
糸の特性を活かして編み立て、製品化する、さすがの技術力の高さが光ります。
特に今回は糸番手とゲージ設定がこの上なくバッチリハマり(これを業界では「キマった」と言うらしいです)、とても良い編み上がりに。
あえてバカ高いカシミア糸を使用した甲斐があったというものです。
自信を持ってオススメします。
さらに今年は編み立て&質感の異なる2モデルをご用意。
ただし、カラーバリエーションは例年より少なめ、それぞれ3色のみの展開になります。
まずは毎年お馴染みのインレイ編みモデルから。
見ての通りの大判サイズ。
(半分に折って持っています)
昨年よりも縦の長さを5cm伸ばして195cm程度に、逆に横幅を5cm短くして70cm程度に。
首の太い方が巻いても長さが足りるように微調整しました。
幅は70cmもあれば余裕で背中を覆うことができますので、マフラーとして首に巻いてもよし、アウター替わりに羽織ってもよし、と使い勝手抜群。
サイズが大きく、しかもペラペラではなくギッチリ詰まっているのである程度ボリュームがあり、クッション替わりに椅子に敷くといった使い方もできます。
ウチは車に必ず1枚は積んでおいて膝掛けとして使ったり、羽織ったりしてますね。
一般的なアウターみたいに袖を通す必要がないので脱ぎ着が楽ですし、暖房が効きはじめるまでの防寒具として特に重宝しています。
画像では全く伝わらないのがもどかしいですが、そもそも伸縮性に乏しいインレイ編みを採用している上に、さらに限界まで目を詰めて編み立ててあるため、非常にしっかりとした布帛のような質感。
カシミアのニットストールと聞くと、軽くてフワフワ、ビヨーンみたいなものを想像しがちですが、こちらはむしろ真逆です。
いかにもカシミアなフワトロ感は鳴りを潜め、ガシッとしていていかにもタフ、ちょっとやそっとじゃヘタらなさそうな頼もしさがあり、ハイゲージながらも肉感もしっかりしていてペラペラな感じは皆無。
とは言ってもパリパリな感じやカッチカチなものではなく、ニットならではの伸縮性も少なからずあって柔らかさやしなやかさも兼ね備えていますので、その点は誤解なきようお願いします。
ただ、編み立て後に行われる「縮絨」と呼ばれる風合い出しの工程もあえて最小限に抑えてあるため、ガサっとしたそっけない肌触りに、これってホントにカシミアですか?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
何十年も前、スコティッシュ系のカシミアが全盛だった頃は、むしろこういったタッチのものが主流だったんですけどね。
昔のバランタインカシミアしかり、それこそマルジェラ期のエルメスのカシミアニットなんかも新品時はビックリするほどガサガサでした。
その後、初めから柔らかくてフワトロ、発色も良いイタリア系カシミアニットが完全に市場を席巻したことで、地味なスコティッシュ系カシミアニットは鳴りを潜める形となってしまいましたが、やはり昔を知る方々はあの頃が良かったと口々におっしゃいます。
何年着ても毛玉ができない、型崩れしない、着続けていくと徐々に柔らかくフワフワになっていく、ということを体感されているからです。
販売側としては最初からフワフワトロトロなモノの方が売りやすいんですけどね。
イタリア系カシミアニットが隆盛を誇った一因でもあると思います。
ただ、そういうものは毛玉が凄かったり型崩れがひどかったりして、すぐにダメになってしまうものが多いのも事実。
ということで、ウチは頑なにスコティッシュ系の質実剛健なカシミアアイテムをメインで取り扱っています。
SANTIのニットなんかは最たる例ですね。
話がちょっと脱線しちゃいましたが、この特注ストールも完全にスコティッシュ系の質実剛健タイプ。
初めガサガサ、使っていくにつれてフワトロに変化していくエイジングも魅力で、とにかく丈夫。
とはいえ、現代の高い紡績技術によって、昔は作ることができなかった品質の細番手糸を使用してハイゲージで編み立ててあるため、昔のスコティッシュカシミアのような素朴で野暮ったい感じは払拭されており、どこかクリアで洗練された印象も。
整っているとはいえ、紡毛なのでツルツルピカピカな感じではなく温かみもあって、カジュアルに馴染みやすい風合いです。
手荒に扱ってもビクともしないほど頑丈なので、カシミアだと気構える必要がなく、デイリーにガンガン使えます。
毛玉もほぼ出来ないはずですし、ご家庭でもお洗濯可能ですからお手入れも簡単ですよ〜
一応、洗濯表示タグ上は水洗いNGになっていますので自己責任にはなりますが、常温の水と中性洗剤を使用し、押し洗い、脱水時間を極力短くして平干ししていただければ問題ないかと。
ウチは躊躇なく、洗濯機のオシャレ着コースでガンガン洗っています。
(そもそもカシミアはコットンなどに比べて汚れにくいので、頻繁に洗う必要はありませんが)
それなりにボリュームがあるので耳まで覆うことができて、顔から首周りにかけてはヌクヌク。
私は自転車通勤ですが、特に寒い日は耳がちぎれそうなほど冷えるので、耳までカバーできるこれくらいのボリューム感があると非常に助かります。
バイアス気味に首から垂らして、ゆるく一巻きするだけでも雰囲気ありますし、
キッチリとミラノ巻きで固定してもいい感じ。
3色のみとはいえ、ベーシックで使いやすいカラーが揃っています。
王道のネイビー、メランジ具合も美しいライトグレー、薄めのグレージュといった趣のアイボリー、どれも甲乙つけがたい…
色違いで2枚まとめてご購入いただいたお客様がいらっしゃいましたが、実はこれ、正解です。
濃い色と薄い色の2枚があるとコーディネートの幅が格段に広がりますし、一枚は職場用、一枚は自宅用など使い分けることもできてとっても便利。
また、2枚重ねて羽織るという上級テクニックもありますが、これが完全にアウター替わりになる暖かさで、想像以上に使えます。
ぜひ2枚お持ちの方はお試しあれ〜
そしてこちらが、新登場のスムース編みモデル。
先にご紹介したインレイ編みモデルに比べ、より肉厚でフワッとしている感じがお分かりいただけるでしょうか?
いや〜、画像だと一切伝わりませんね〜
スムース編みはゴム編みを重ねたようなものなので、伸縮性がありながらも肉厚で弾力があり、ふっくらしていながらも生地はシャキッとしていてダレにくいという特徴が。
こちらも限界まで目を詰めて編み立てているものの、編み組織の違いからインレイよりもフワッとしていて、一般的に想起されるいわゆるカシミアっぽいタッチを初めから味わえます。
モチっとしていてホント気持ちいいんですよ〜
ただ、両面編みの一種ですから、普通のゴム編みの倍の糸が必要になります。
カシミア糸は恐ろしく高価ですから、それを単純計算で2倍使うことになる編み方は贅沢すぎてほとんど採用されないですね。
いいのは分かっていても、販売価格が高くなりすぎて売れませんから。
試しにザッと検索してみたところ、スムース編みのカシミア100%ストールは全くヒットしませんでした…
そりゃ普通は作りたくても作れませんて。
しかもこれだけの大判サイズで限界度詰め。
あらためて、この特注ストールの希少性、異常さ、猛烈なコスパの高さをお分かりいただけたかと思います。
サイズはインレイ編みモデルと同じく、約195cm x 70cm。
同じサイズでもスムース編みは生地が二重になっているようなものなので、折りたたんで比べると明らかに嵩高でボリューミー。
ただし重量は同じくらい、下手するとインレイの方が少しだけ重い感じ。
そう考えると、インレイはとんでもない度詰め具合ということが分かります。
皆さん、毎年お色選びで迷われていますが、今年はそれ以上にモデル選びで苦悩される方が続出。
インレイがいいのか、新登場のスムースがいいのか、なまじ色展開が違っていれば色で選ぶという逃げ道もありますが、どちらも同じ色でのラインナップということでその手は使えません。
特に店頭のお客様はまだしも、オンラインでご検討の場合、画像だけでは違いが非常に分かりにくいため、連日お問い合せをいただいています。
そりゃ悩みますよね…
どちらをお選びいただいてもご満足いただけるとは思うのですが、
【インレイ編みモデル】
・当店特注カシミアストールシリーズを初めてご購入される方
・マフラー的使い方がメインの方
【スムース編みモデル】
・すでに当店特注カシミアストールをお持ちの方
・羽織りとしての使い方がメインの方
という感じで私はオススメしています。
比較で言えば、
・インレイ編みの方がボリュームが抑えめのため、マフラー的に首に巻いた時に収まりが良い
・逆に羽織りものとしてはスムース編みの方が量感があって映える
という印象ですが、あくまで両者での比較においてですから、スムース編みモデルはマフラー的使い方ができないわけではないですし、インレイ編みモデルが羽織りものとして向かないというわけでもありません。
あしからず。
あ、ちなみにインレイは表裏で編み目が異なりますが、スムースは表裏が同じ。
インレイの方が表裏で違いがある分、首に巻いたときなどはとくに奥行きや表情が出やすいですね。
スムースはその名の通り、両面同じでスムースな見た目になります。
スムース編みモデルのネイビーはクリーンで整っている分、スーツスタイルなどドレスシーンでも一際映えそうです。
もちろんカジュアル使いにもピッタリ。
このスムース編みモデルも、Navy、Gray、Ivoryの3色展開。
これも甲乙つけがたい…
あ、すでにIvoryは完売ですが。
ということで久しぶりの長文となりましたが、以上。
今年分より値上げとなってしまったものの、製品自体はそれを超えるほど格段にクオリティが向上したため、むしろ例年以上にお得感は増していると言えるかもしれません。
とにかく、この飛び抜けた品質でこの価格はぶっちぎりでお買い得。
残糸 x ファクトリーブランドという強みが遺憾無く発揮された、まさに傑作です。
大切な方への、とびっきりの贈り物としてもピッタリですね。
洋服に詳しくない方にもこの凄さは伝わりやすいかと思います。
流行り廃りなく末長くお使いいただけますので、老若男女問わず、あらゆる方にオススメです。
寒さはこれからが本番。
ぜひこの機会にお試し下さい〜